2020年のカープは投手陣に故障者が続出するなど、苦しいシーズンとなった。そんな中で開幕から力投を続けてきた九里亜蓮。コロナ禍の影響を受け、無観客試合の中を経験する中で、九里はどのような思いで投げていたのだろうか? 改めてファンへの思いを聞いた。

長年親交のある新日本プロレス・内藤哲也選手の決めポーズを見せる九里亜蓮投手

◆カープファンの力の大事さを痛感した2020シーズン

─改めてお伺いしたいのですが、九里投手が感じているチームの良さを聞かせてください。

「チームとしては、佐々岡(真司)監督も言われているように、一体感だと思います。僕自身が感じているのは、全く上下関係がないという意味ではなく、先輩、後輩に関係なく、何かあればお互いに質問したり、気軽に会話ができたり、すごく雰囲気が良いチームであると思いますね」

─では、カープの良い部分をどのように感じていますか。

「選手目線で言うと、今年はコロナで無観客試合もありましたし、来場者の規制もありました。そういう状況の中で感じたのは、スタンドを真っ赤に染めてくださるファンの方々がいてこそだと思いました。改めて考えてみても、本当にファンのみなさんの声援が熱い球団、チームだと思います」

─そういえば、大のカープファンである新日本プロレス・内藤哲也選手とは親交が深いそうですね。

「内藤さんとはもう5〜6年のお付き合いになります。元々僕がプロレス好きだということもあり、初対面のときは『内藤さんだ!』と普通にファン目線でしたよ(笑)。あの体格を見ていると、当たり前なんですけどプロ野球選手とは全く違いますよね(苦笑)。胸板の厚さ、首の太さを見ても、やはりプロレスラーはすごいんだなと思います」

─ご自身の登場曲に内藤選手の入場曲を使用されていますね。

「実は入場曲が流れる前に内藤さんが自分で考えた言葉を音声で入れてくださっているんです。なので内藤さんが観戦していなくても、あの音楽と言葉を聞くだけで気持ちが入りますし、本当に感謝しています」

─九里投手も内藤さんの試合を観に行かれたことはあるのですか?

「もちろん内藤さんの試合を観に行ったことはあります。実際に観させていただいて、内藤さんがリングまで入場してくるときの会場の一体感がすごいんです。僕としては、『そういう一体感がマツダスタジアムでも出たらうれしいな……』と思いながら、いつも1人で歌ってます(笑)。そういえば、10月6日に僕がマツダスタジアムで登板(阪神戦)だったのですが、同じ広島(広島サンプラザホール)で新日本プロレスの試合があって、内藤さんの試合があることは知っていました。なので、同じ日に広島でスターダストが流れていると思うと本当にうれしかったですよ。ちなみにその日、内藤さんは試合で勝ったんですけど、その前くらいのときにEVIL選手に負けたときは、1人ですごく悔しがってました(苦笑)」

─カープファンのみなさんは九里投手にとってどんな存在だと言えますか?

「ピンチのときをはじめ、いつも背中を押してくれて、熱い声援で勇気をくれて、力を送ってくれる本当に心強い、ありがたい存在です。今年は無観客試合もありましたが、ファンの方がいる試合といない試合ではまったく違いますし、何か全然違うところで野球をしている感覚でした。試合になれば、そこはあまり気にしないようにしますが、やはりファンの方がいるのといないでは違いますよね。そう考えると、今年はすごくファンのみなさんの力の大事さを痛感したシーズンでしたよね」