2003年3月の創刊号以来『広島アスリートマガジン』では、カープの選手やOBなどさまざまなインタビューを収録してきた。この企画では、これまでの誌面を振り返り、印象的な言葉をピックアップしていく。今回は、歴代指揮官たちが就任直後に掲げていた言葉を紹介する。

2015年から指揮を執った緒方孝市監督。2016年に25年ぶりのリーグ制覇を果たすと、球団史上初となるリーグ3連覇を達成した。

◆悔しさを乗り越えて勝ち取った3連覇

【緒方孝市(2015-2019年)】
強いチームというのは、接戦に持ち込んだときに勝ち切っています
(広島アスリートマガジン 2014年12月号)

 野村謙二郎監督の跡を継ぎ、2014年オフに監督に就任したのが緒方孝市。5年間、コーチとして見守ってきたチームを任され、悲願のリーグ制覇に向けて動き出した。

「自分のなかではそんなに変えようとは思っていませんし、今までの自分でいいと思う部分はありました。しかし、選手の立場からすると、やはり同じ目線で私を見ていない感覚はあります。改めて監督という立場は、自分が思っている以上に選手には大きいのだと感じています」

 緒方監督が目指したのは、接戦で勝ち切れるチーム。2年連続でAクラス入りを果たした前任の野村監督が築いてきたチームの戦力を底上げし、ロースコアでの戦いを確実にものにするチームづくりを目指した。

「シーズンの流れを見たときに、接戦を落としているとなかなか波に乗っていけません。これは優勝を目指すにあたり、絶対に必要なところになってくると考えています。そのために大切なのは、先発投手がいかに失点を抑えてゲームをつくれるか。また攻撃面ではいかにチャンスでの打撃をできるかです。そこに機動力も含めた攻撃を展開したいと考えています」

 就任1年目の2015年には3年ぶりにAクラスを逃すなど悔しいシーズンを過ごしたが、2016年は接戦をものにする勝負強さ、リードを許しても終盤に試合をひっくり返す劇的な試合を何度も演出。25年ぶりのリーグ優勝、そしてそこから球団史上初の3連覇を成し遂げるなど、球団史に名を刻んだ。