2003年3月の創刊号以来『広島アスリートマガジン』では、カープの選手やOBなどさまざまなインタビューを収録してきた。この企画ではこれまでの誌面を振り返り、印象的な言葉をピックアップする。今回は、2000年代後期からのカープ低迷期を支えた指揮官が就任直後に掲げていた言葉を紹介する。

2006年から指揮を執ったブラウン監督。様々なチーム改革を行い、ファンからは「マーティ」の愛称で親しまれた。

◆「ALL-IN」を掲げ、改革を行ったブラウン監督

【マーティ・ブラウン(2006-2009年)】
練習時間が短い。じゃあ、長ければいいのか。そうではなくて練習の「質」を大切にしたいのです。
(広島アスリートマガジン 2005年12月号)

 2005年オフにカープの監督に就任したマーティ・ブラウン。選手時代にカープ在籍経験(1992年~1994年)があり、監督としては、1Aから3Aまでの監督を9年間努めた実績を持つ外国人監督に、8年連続Bクラスに低迷するチームの再建が託された。

 目的達成に向け、ブラウン監督は、過去のしがらみや因習、慣わし、ものの見方、考え方、価値観を振り払い、一度すべてをリセット。そして「ALL-IN(オールイン)」というキャッチフレーズを掲げた。シンプルなこの言葉の中には、一つの目標を成し遂げるために、チーム、フロント、ファンが一体となり、一つの方向に向かうという強い意志が込められていた。

 キャンプの全体練習時間の短縮、先発投手陣の球数制限、リリーフ投手のローテーション制の採用をはじめ、前年まではクリーンナップの柱だった前田智徳を2番で起用するなど、自由な発想と持ち前のファイティングスピリットで、様々なチーム改革を行った“マーティ”。

 監督1年目と2年目は5位に終わるも、旧市民球場ラストイヤーとなった3年目は、シーズン終盤までCS進出を展開。マツダスタジアムがオープンした4年目も白熱の3位争いをみせ記念の一年を盛り上げた。残念ながらあと一歩のところで、Aクラス入りはならなかったが、カープに新しい風を吹き込み注目を集めた。