大野寮への入寮を終え、待望のプロ生活をスタートさせた新入団7選手。この企画では、ドラフト指名後に行った独占インタビューをもとに、チームに新風を吹き込む新入団選手の決意を紹介していく。今回は、名門・亜細亜大で鍛え上げられた守備力を武器に、開幕一軍入りを狙うドラフト6位・矢野雅哉選手の意気込みをお届けする。
◆本塁からバックスクリーンにぶち当てる脅威の強肩が魅力
矢野雅哉とカープスカウトを引き合わせたのは、偶然から生まれた“あるプレー”だった。矢野が大学3年のとき、自主練習の時間に試した“本塁からの遠投”を、カープの松本スカウトは見逃さなかった。
「3年の春の出来事ですね。肩の調子がよかったので、自主練習の時間に、ちょっと試してみたんです。すると(本塁から)バックスクリーンまで届き、さらに、その遠投をカープの松本スカウトが見てくださっていたようです。こういった遠投の練習は、この日以来やっていないので、松本さんに見てもらえたことは、本当に偶然の産物ですね」
矢野の長所は強肩を生かしたショートの守備だ。なかでもスカウトを驚愕させた肩の強さは、プロでも十分通用するという評価を受けてきた。
「カープでも、三遊間の深いところからでもアウトにできる守備範囲の広さと肩でアピールしていきたいです。守備で大切にしているのは、どんな形でもアウトを奪うこと。そのために肩とスローイングを安定させることを意識しています」
ショートは中学2年の秋から始めた、矢野にとって思い入れのあるポジション。内野の要となるショートを守るにあたり、中学の頃の捕手経験が、守備の“洞察力”を向上させたという
「打者のスイングや投手が投げる球種から、打球がどこに飛んでくるのかを、ある程度、予測できるようになったのは捕手をやらせてもらった経験のおかげだと感じています」
守備同様、打撃でもアピールを忘れない。なかでもこだわるのは出塁率。バントを含めて小技ができる巧打者を目指していく。
「目標にしているのは阪神などで活躍された平野さん(恵一・二軍コーチ)。ガッツ溢れるプレーも大好きで、平野さんのようなシャープな打撃を身につけていきたいと思っています」
カープの支配下選手指名では、この年最後の指名となったが、矢野はそのことを前向きに捉え、未来を見据えている。
「6位ですが、下から這い上がることができると、今ではプラスに捉えています。指名直後に大学の監督からも言われましたが、とにかく這い上がるしかありません」
下位指名とはいえ守備においては、十分に開幕一軍を狙える逸材。大切に守り抜いてきたショートの守備でどれだけのファンを魅了するか、楽しみに見守りたい。
◆矢野雅哉(やの まさや)
1998年12月16日生
21歳/右投右打
171cm・72kg
育成高ー亜細亜大