今年も即戦力候補から、ダイヤの原石まで個性豊かな新人選手を仲間に加え、2021年のスタートをきったカープ。この企画では、現在主力として活躍する選手たちのルーキーイヤーの独占インタビューをもとに、彼らのプロ1年目を振り返る。

 今回は、現在もなお攻守両面でチームを牽引する、カープ會澤翼が語った“1年目の言葉”を取り上げる。

長打力と強肩が魅力のガッツ溢れる捕手として期待された會澤翼選手。プロ入り当初は背番号64を背負い成長を重ねた。

◆捕手は特に厳しいポジションだという自覚はあります

 水戸短大付高から2006年高校生ドラフト3巡目でカープに入団した會澤翼。貫禄のある面構え、がっしりとした体格で19歳とは思えない雰囲気を持つ會澤は、入団当初から「捕手はチームの華」と言い切るほど、『捕手』というポジションに熱い想いを抱いていた。

「自分にとっては、野球というのは捕手そのものなんです。他のポジションをやりたいとかそういう思いもありません。自分にとって野球の華は捕手だと思っていますから。捕手が良くなかったら試合には勝てない。ゲームを進めるのは投手かもしれませんが、裏でゲームを作るのは捕手なんです」

 小学校4年生から捕手一筋。常にチームの要として、捕手へのこだわりと誇りを持ってプレーしてきた。

「高校の時も上級生の投手を叱り飛ばしたりもしてきたし、チームが勝つために必要ならどんどんやっていきたい。これからは先輩の投手だらけですが、しっかりと言うことは言っていかなければいけないと思っています」

 ときには強気な発言で自身を鼓舞する會澤が、理想の捕手として頭に描いていたのは、捕手記録を次々と塗り替えてきた球界を代表する捕手・谷繁元信(元中日など)。

「肩も強いし、リード面でもズバズバ内角を突いていく。ああいう姿は見ていてかっこいいですね。高校の時はよくプロ野球を見るように言われていたんですが、谷繁さんが印象的でした」

 当時のカープ捕手陣の柱は、倉義和と石原慶幸の2人。投手陣を支えてきたこの2人を継ぐ存在として、若武者・會澤にかかる期待は大きかった。

「まず1年目はケガをしない体をしっかりと作りたい。そしてチャンスがあれば二軍の試合にも出たいです。そこでしっかりアピールして、シーズンの終わりくらいにしっかり結果を残したいですね。そして秋や春のキャンプから一軍に合流したいと思います。捕手は特に厳しいポジションだという自覚はあります。争いも厳しいし、時間がかかるということもある。それでもプロでやっていくわけだし、先輩たちに勝つ自信はあります。なかったらこの世界でやっていけませんから」

 真剣な眼差しで将来のビジョンを話してくれた高卒1年目の會澤。2年目での一軍昇格は叶わなかったが、プロ3年目で初めて一軍に昇格。倉と石原の背中を見ながら成長を重ね、のちに、ベストナインを3度受賞し、球団初のリーグ3連覇にも大きく貢献。カープ、そして日本を代表する捕手へと成長を遂げていくこととなった。