カープの現役選手のルーキー時代を、当時語っていた言葉と共に振り返っていく本企画。今回取り上げるのは、今シーズンの“復活”に期待がかかる、2016年のドラフト1位の岡田明丈。プロ1年目から一軍マウンドを経験した右腕が抱いていた課題と野望を振り返る。

2016年ドラフト1位でカープに入団した岡田明丈選手。プロ1年目からCS、日本シリーズでの先発登板を果たすなど、期待の高さを伺わせた。

◆プロのレベルの高さを痛感し、立ち上がりの課題を修正

 ドラフト1位の期待通り、岡田明丈のプロ生活は順調にスタートした。開幕一軍入りを果たすと、4月1日の巨人戦(マツダスタジアム)で初登板初先発。7回途中まで3失点に抑え、先発としてはまずまずの結果を示した。しかしその後も先発として試合をつくるも、プロ初登板から8試合連続勝ち星なし。勝ち星に恵まれない苦しい日々が続いた。

「まずまずの投球をしているのに結果がついてこないという点にもどかしさは感じましたが、黒田(博樹)さんや野村(祐輔)さんから、『次頑張れば大丈夫だよ』という言葉をかけてくださったので精神的にすごく楽になりました。緒方監督にも『やっていることは間違っていないから』と言われて救われた部分もありました」

 安定した投球を続ける岡田の一つの転機になったのは4月28日のヤクルト戦(神宮)。この試合では、先発するも1回を投げ切ることができず、6失点でマウンドをあとにし、翌日一軍登録を抹消された。

「大学時代はスロースターターで初回はゆっくり軽く抑えて後半戦からどんどんギアを上げていくスタイルでしたが、プロではそれが通用しませんでした。このヤクルト戦をきっかけに『初回から自分のできる限りの力をぶつけて、できるだけそれを維持する』という考えに変えるようにしました。そこからは安定して立ち上がりから試合に入れていますね」

 プロでの経験を重ねて迎えた6月25日の阪神戦(マツダスタジアム)。6回を2失点にまとめて、プロ9回目の先発マウンドでようやくプロ初白星を手にした。この試合、バッテリーを組んだのは石原慶幸。ここから5試合連続で石原とバッテリーを組み、3勝を積み上げた。

「石原さんからは『自分の球をしっかり俺に投げてこい』ということを言われました。自分自身ストレートが軸の投手だと思っていますし、腕を振れなくなったら捕手の方もリードしにくいと思うのでそこは特に気をつけています」

 先発ローテの一員として経験を積んでいた岡田がアクシンデントに見舞われのは8月上旬。右肩の違和感で一軍登録を抹消された。プロで初めての怪我となる離脱。しかし、岡田は焦ることなく、「じっくり直して万全の状態でチームに合流できるように」と前を向いた。

「日本を代表するような投手になりたいということは常日頃から考えています。カープの一番になるだけではなく、“セリーグのエースと言えば岡田”と言われる存在になりたいです。シーズン中の具体的な目標としてはシーズン通して“一回も負けない”というのはいつかやってみたいです。勝率10割、無敗の投手に憧れます」

 9月に怪我から復帰した岡田は、クライマックスシリーズ、日本シリーズと、負けが許されない大事な試合でルーキーながら先発登板。プロ1年目からのアクシデントを乗り越え、その才能の片鱗を見せていた。