V奪回の鍵を握る新外国人選手、ケビン・クロンがチームに合流し、春季キャンプに向けて着々と陣容が整いつつあるカープ。ここでは過去10年、カープに在籍した主力外国人選手を遡り、入団会見時に語った言葉と共にその活躍を振り返る。今回はカープで日本のキャリアをスタートさせたサファテ、球団初のCS進出に大きく貢献したバリントンをピックアップする。

2011年シーズンにカープに加わったブライアン・バリントン投手。1年目からチームトップとなる13勝を挙げ、球団史上初となるクライマックス・シリーズ進出にも大きく貢献した。

◆日本通算45勝を挙げた、メジャードラ1右腕

ブライアン・バリントン(2011ー2015年)
<日本での通算成績:124試合/45勝45敗/防御率3.25>

 MLBドラフト1巡目(全体1位)という実績をひっさげて、2011年シーズンにカープに加入したブライアン・バリントン。前年に15勝を挙げ、エースに成長しつつあった前田健太(現ツインズ)に次ぐ、先発ローテの柱として期待がかかった。

 入団会見では「ベストな状態でマウンドに上がり、勝ちに結びつける努力、練習をしていきたいです」と意気込みを語った。

 初めて参加した日本のキャンプでは、同期入団のデニス・サファテと共に、日本式の練習にも意欲的に取り組み調整を重ねると、周囲の期待通り、先発ローテーション入り。4月14の阪神戦(甲子園)で来日初先発を果たすと8回無失点に抑え、初勝利を挙げた。

 幸先よく日本でのスタートを切ったバリントンは、来日3試合目の登板で早くも完封勝利。投げるたびに白星を重ね、球団史上初の開幕4連勝を記録。その勢いのまま4月は、リーグ最多の3勝、防御率1.96をマークし、月間MVPに輝いた。以降も抜群の安定感を誇り、1年を通して先発ローテを守りぬくと、チームトップとなる13勝を挙げ、200イニングをクリア。チームは5位に終わったが、エース前田健太と共にカープ先発陣を支えた。

 来日3年目の2013年には初の開幕投手を務めると、8月以降は無敗の7連勝を記録。この年、来日通算30勝を達成し、ネイサン・ミンチーが持っていたカープ歴代外国人投手通算勝利数を更新した。

 また、バリントンは、日本人投手とも積極的に交流し、丁寧にアドバイスを送るなど、世代交代を進めつつあったチームにうまく溶け込んだ。ゾーンを広く使い、コーナーに投げ分ける投球術は、九里亜蓮など現在先発投手陣の主力として活躍している選手に大きな影響を与えた。現在は、大リーグの国際スカウトに就任し、金の卵発掘に力を注いでいる。