「完璧なドラフトでした。僕も運があるし、スカウト陣の努力の賜物です」。
12月9日に行われた新入団選手発表の場で、そう語った佐々岡真司新監督。
2019年ドラフトは監督、スカウト陣も納得するプラン通りの結果に終わった。

 

 異例の感謝の言葉だった。2020年度のカープ新入団選手発表会見、壇上に赤いネクタイで現れた佐々岡真司監督はマイクを握ると力強く語り始めた。

 「自分が監督になって、オーナーに即戦力投手が欲しいと言い、そこから始まりました。1位で森下(暢仁)が獲れ、2位以降も欲しい選手が全員指名できた。完璧なドラフトでした。僕も運があるし、スカウト陣の努力の賜物です。カープは育成しながら強くなるチームです。若い選手も伸びているし、頼もしい選手も入ってきた。育てながらV奪回をしたい」

 華やかなステージに目を細めながら喜びを噛みしめたのが苑田聡彦スカウト統括部長だった。
 「この言葉をスカウト9名がどう思ったかです。僕は、日頃からやってきたことを評価してもらえたと感じました。これは励みになりますし、こういうことが何にも代えがたい喜びです」

 確かに完璧な展開だった。前日に指名を公言した明治大の森下暢仁は単独指名に成功した。155キロのストレートと鋭さすら感じられるカーブは、間違いなく大学ナンバーワン投手の称号にふさわしいものがある。ドラフト2位では、50m5秒8の俊足がカープ野球にマッチする法政大の外野手・宇草孔基を指名、さらには3位で霞ケ浦高のエース鈴木寛人である。148キロの速球と完成度の高いフォームで、さらに上位で指名されても何の不思議もない逸材がこの順位で指名できたのである。実際、ドラフト予想記事では、宇草や鈴木が複数媒体で『1位候補』に挙げられていたくらいである。