カープのドラフト上位3投手の評価が日増しに高まるなか、ドラフト4位の小林樹斗も春季キャンプで潜在能力の高さを見せた。高卒1年目でありながら、キャンプイン直後にブルペンで152キロを計測。最短距離での一軍登板を目指す本格派右腕の、春季キャンプ中の声をお届けする。

名門の智弁和歌山高で背番号1を背負った小林樹斗投手。

◆力感なくブルペンで豪速球を計測

——小林投手は野球を始めたときからポジションは投手だったのですか?

 「小学3年のときに野球を始めて主に投手ですけど内野や捕手など、いろいろなポジションをやっていました。連戦が多かったので投げた次の試合は捕手とか、そんな感じです」

——本格的に投手に取り組み始めたのは、いつからでしょうか?

 「小学4年くらいからで、小学6年のときは背番号1を付けさせてもらいました。でも中学生のときは3年の夏まで背番号5をつけていて、エースではありませんでした。ただ僕自身の中では常に投手をやりたいという気持ちがあったので、エースをつけている人間にどうやったら追いつけるか、追い越せるかということを常に考えていました。その頃の考え方が高校に入ったとき、いろいろと頭の中でつながってくる部分があって、高校2年のときに出場した選抜で一つ形になったような気がします。なので本格的に取り組み始めたという意味では、高校2年の選抜が一番のターニングポイントになったと思いますね」

——そして直後の夏の大会で星稜高の奥川恭伸投手(ヤクルト)と投げ合って、さらに気持ちが入ったわけですよね。

 「あんな素晴らしい投手の投球を目の当たりにして、自分の力のなさを改めて感じました。あのようなレベルの高い投手に少しでも近づきたいという思いを持って、2年の夏からの1年間は練習に取り組みました」

——このレベルまでいかないと指名されないなど、奥川投手の存在がドラフト指名される上での物差しになった部分もありますか?

 「そうですね。高校時代の監督と話をする際にも『あれほどの投手でもプロで、すぐに成功することは難しい』と言われていたので、自分はまだまだと感じさせられましたし、それは今でもそう思っている部分です」

——気持ちを入れ替えて練習に取り組む中で、コロナの影響により昨年は選抜が中止。気持ちの面でも調整が難しかったと思います。

 「選抜で自分が投げて優勝するという気持ちでやっていたので、正直、気持ちを上げるのが難しいときもありました。ただ自分は夏の大会の先にプロというものを見据えていたので、対外試合がない中でも冬にやっていた基礎体力を向上させる練習を継続してやっていました。そのときしっかり練習したからこそ、こうしてドラフト指名につながったのかなと思います」