Bクラスからの浮上を目指すカープにおいて、最大の課題と言われているのがリリーフ陣の再構築だ。リーグ3連覇当時は、磐石の継投リレーで数多くの“逆転のカープ”を演出。ここでは2015年以降にスポットを当て、2度にわたって各年度の勝利の方程式を振り返っていく。

二軍で調整を続ける中﨑翔太投手。リーグ3連覇の立役者の一人だけに復活を望む声も多い。

◆2015年「永川勝浩以来の20セーブ超え。日本人守護神が誕生」
<勝利の方程式=ヒース-大瀬良大地-中﨑翔太>

 開幕直後はヒースが抑え、中﨑がセットアッパーを務めていたが、ヒースの状態が上がらずシーズン早々にリリーフを再構築。リリーフ陣の柱として期待された一岡も安定感を欠き、4月中旬には中﨑が新守護神として抜擢された。

 緒方孝市監督の目論見は功を奏し、6月5日以降は46試合の登板で防御率0.93という驚異的な数字をマーク。2010年の横山竜士以来となる球団日本人二桁セーブ、2009年の永川勝浩以来となる球団日本人20セーブ超え投手(29セーブ)となった。6月からは開幕ローテーション入りしていた大瀬良がリリーフに転向。中﨑と共に51試合20ホールドと貢献したが、打撃陣の不振が響きチームは3年ぶりのBクラスに沈んでしまった。

◆2016年「“逆転のカープ”というワードを生んだ盤石のリリーフ陣」
<勝利の方程式=今村猛-ジャクソン-中﨑翔太>

 直近2年で調子を崩していた今村が復活したことで、リリーフ陣の厚みが一気に増した。この年は67試合に登板し、防御率2.44で22ホールドをマーク。

 新加入したジャクソンも67試合の登板でリーグ2位となる37ホールドをマークするなど、現代野球で重要度が増している終盤戦の安定度が格段に上昇した。極め付けは抑えに完全固定された中﨑が年間を通して好調をキープし、リーグ優勝までの60登板で防御率1.37を記録。強力打線がクローズアップされがちだが、逆転勝利数45試合という数字が示すように、リリーフ陣の安定度がもたらした25年ぶりのリーグ優勝でもあった。