3月26日のプロ野球開幕戦。カープの新助っ人・クロンが来日初打席で初安打を放ったものの、それ以降は日本人投手の攻めに苦しんでいる。かつて結果を残した外国人選手は、どのようなマインドで日本野球に順応していったのか。2017年シーズンに収録したエルドレッドのインタビューをもとに、異国の地で成功する秘訣を探る。
(『広島アスリートマガジン』2017年5月号)

在籍7年は球団外国人選手では最長。2019年シーズン限りで現役を引退し、現在はカープの駐米スカウトを務めている。

◆チームから必要とされる誇り

― 今季でエルドレッド選手が来日して6年目となりました。どのような気持ちでシーズン開幕を迎えられましたか?

「まず6年間、同じチームでやってきたことは素直にうれしいですし、達成感があります。同じチームに6年間在籍できたということは自分がこのチームで必要とされているということなので、誇らしくも思います」

― カープに在籍した過去5年間で1番印象深かった出来事はなんですか?

「昨季のリーグ優勝の瞬間が一番印象的です。初めて日本に来た時のことを考えると、感慨深いです。1年目は何も分からず日本に来て、チームの中に溶け込んでいかなければいけませんでしたし、日本の野球を学ばなければなりませんでした。そうした積み重ねを経た上で、優勝チームの輪の中にいれたということが非常にうれしかったです。年数が経つにつれてチームメートとも仲良くなっていきましたし、スタッフとも信頼関係を築けています。昨季の優勝は1年1年の積み重ねがあった上での5年目の集大成でした」

― 広島の土地についても愛着が湧いてきたのではないですか?

「自分を含め、家族にとっても広島は二番目の故郷になっています。5年間、広島で野球をしているということは、米国の家にいるより長い時間生活しているわけですから、ここが生活の拠点になっているといっても過言ではありません。自分たちが、街に溶け込んでいるのは、球団のスタッフが本当に手厚いフォローをしてくれたおかげです。また街に出れば、ファンの方々から暖かい声援をいただいています。昨季オフに球団と2年契約をした大きな理由の1つに、広島への大きな愛着があります」

― 日本文化の中で特に気に入っていることがあれば教えてください。

「一人ひとりが他者に対して尊敬の念を持っている点です。それは街での会話や、普段の挨拶から感じます。またお歳を召されている方に対してみなさん優しさを持って接しているので、その点も素晴らしいと思います」

― 好きな日本語はありますか?

「よく使っているのは“カラ元気”です。私も歳をとって体力的に辛い時があるので、よく口にします。またチームメートの新井さん(貴浩)と一緒に試合前のシートノックを受けている時に、新井さんに対して『カラ元気!』と声をかけるようにしています(笑)」