ついに「野球がやりたい!」という気持ちのつぼみを満開にさせるときがやってきた。プレー機会を待ちわびた選手たちによる女子野球硬式野球大会『第1回栃木さくらカップ2021』(4月2日~6日)が、栃木県のエイジェックさくら球場で開幕。再び野球ができる喜びを噛みしめながら、多くの女子選手たちが懸命に白球を追った。

川端慎吾選手(ヤクルト)の妹である川端友紀選手。日本初の兄妹プロ野球選手として、現在はエイジェック女子硬式野球部で選手兼コーチを務めている。

◆女子野球界活性化に勢いをつける『さくらカップ』

 2020年は新型コロナウイルスの影響で、野球界の各種大会が中止や延期を余儀なくされた。それは女子野球も例外ではなく、多くの選手が大きな影響を受けた。

 そんななか選手たちにプレー機会を提供しようと、男女硬式野球部やBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスを運営しているエイジェックが中心となり、昨年8月に『栃木さくらカップ』を初開催。同大会には栃木県内外の高校やクラブチームが集まり、熱戦のすえエイジェックが頂点に立った。

 エイジェックといえば、2017年まで広島東洋カープに12年間在籍し、新人王をはじめ、盗塁王やゴールデン・グラブ賞にも輝いた梵英心氏(現オリックス一軍打撃コーチ)がカープ退団後の2018年から2年間、男子硬式野球部で選手兼コーチとしてプレーしたチームとしても知られている。

 初めての大会を制したエイジェックは、連覇をかけて2021年も引き続き参加する。ちなみにこの大会自体は2回目であるが、前回は交流戦としての位置づけだったため、今大会は改めて『第1回大会』として開催される。4月2日~4日はクラブチームが出場するフリーの部、4月5日~6日は高校生の部と2つの部に分けられ、5日間にわたって両カテゴリーで熱戦が繰り広げられる。

 出場チームも昨年から約2倍となる15チームが参加し、会場となるエイジェックさくら球場、とちぎ木の花スタジアム、宇都宮清原球場の3球場がある栃木県のチームをはじめ、県外からも続々と参加する。

 現在の女子野球界は、選手やチームが増加傾向にある。2020年は新たに埼玉西武ライオンズレディースと阪神タイガースWomenの誕生により、女子プロ野球や日本代表経験者同士がチームメートとなったことで注目を浴びた。

 また、高校では全国で女子硬式野球部を創設する学校が増えており、先日開催された女子硬式高校野球選抜大会には過去最高の33校が参加。加えて創部準備や大会未出場校等を含めれば40校を超える。各地で女子野球熱が高まっている今、全体の活性化のために定期的な大会が必要となる。その役割を担うのがこの『さくらカップ』だ。