菊池涼介のバットから快音が止まらない。4月15日の阪神戦で開幕から続いていた連続試合安打記録は『16』でストップしたものの、翌16日に先頭打者本塁打を放ってからは再び3試合連続で安打を量産中だ。ここでは25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年シーズン後のインタビューをもとに、菊池の打撃理論を紐解いていく。
(『広島アスリートマガジン』2016年12月号掲載)

4月19日現在で打率.384、33安打、5本塁打、10打点という驚異的な成績を残している菊池涼介選手。

◆過去4年とは違うスタイルでプレー

― マジックが点灯してからの戦いですが、今振り返ってみてプレッシャーは感じていましたか?

「プレッシャーは特になくて、新井(貴浩)さんがマジック点灯前から『まだどうなるか分からないからな』とずっと言ってくれていたので、僕を含めてみんなそれに聞き入っていて、“まだまだこれからだ”と思ってプレーしていました。マジックが点灯してからもそういう意気込みでしたし、1試合1試合勝ちにこだわっていたら良いペースでマジックが減っていったという感じでした」

― 今季チームの中でどのような立ち位置、意識でプレーされていたのでしょうか?

「キャンプからやってきた、右打ちをする、バントを確実にこなすということに徹するという感覚でした。打席に入っても球を見極めたり、盗塁待ちであったり、また新しい自分というか、過去4年とは違うスタイルでのプレーが続いて本当に苦しかったですね。結局、そういう“進塁打を打とう”という意識で良い結果が残ったり、ランナーを送れば丸(佳浩)、新井さんが返してくれるという信頼感があったので、今季は昨季に比べると気が楽というか、“後ろにつなげばなんとかしてくれる”という安心感がありました」