「無名でどこぞの誰か分からない僕を指名してくださった球団。感謝しかありません」
19年に国内FA権を取得した會澤翼が、カープ愛を理由にチーム残留を表明した。
頼れるチームリーダーの残留は、チームにとって何物にも替えがたい上積みとなった。
押しも押されもせぬカープの中心選手となった男の『背番号64』時代を振り返る。
(2006年11月号)

高1の夏からベンチ入りを果たし、同年秋から正捕手に。甲子園出場はなく、最後の夏はベスト16止まり。中央球界には無名だったが、1年時からカープ以外にもソフトバンク、ヤクルトなど複数球団が注目していた。

 バッティングでの自分の売りは、アウトコースの球をセンターから右方向に打てることです。ただ、2年の夏くらいまでは、そのコースを打つことができませんでした。だから、フリーバッティングなどでアウトコースだけを打つ練習を行い、徐々に自信を深めていきました。インコースの球は得意にしていたのですが、アウトコースは苦手にしていたので最初は難しかったですが、今ではしっかりと打てるようになったと思います。

 打席に入ったときは、甘い球を見逃さないように、常に積極的に振っていこうと思っています。そしてセンターから右方向を意識して、「シャープに振って鋭いライナーを打つ」ということを考えています。ホームランは通算で35本打ちましたが、あまり意識はありません。それよりも、ライナー性の打球を打って、野手の間を抜いていくことが理想です。

 バッティングフォームはクローズで、グリップは肩より上に置いています。その状態から左足でタイミングを取りながら、打っていきます。得意なコースは、インコース低めです。ホームランもヒットも高めの球よりも低めの球の方が多いし、そういうことから言えば僕はローボールヒッターだと思います。