2021年6月6日、鳥取市で開催された陸上の「布勢スプリント」に出場した山縣亮太が、男子100メートル決勝で「9秒95」の日本新記録をマーク。広島を代表するスピリンターが、東京五輪出場に弾みをつける歴史的な大記録を叩き出した。

 ここでは、過去の広島アスリートマガジン(2012年7月号)に掲載された山縣亮太の記事を紹介する。2012年の夏、ロンドン五輪を目指し躍進を続けていた山縣が、どんな思いで陸上と向き合っていたかを本人の言葉と共に振り返ってみよう。

◆意識の変化で陸上界の第一線へ

 五輪出場。それはアマチュアのアスリートたち全てが夢見る最高の舞台だ。6月11日、陸上競技連盟から陸上五輪代表選手が発表され、広島育ちの若きアスリート・山縣亮太が陸上男子100メートル五輪代表の座を掴んだ。現在慶応大2年生、競走部に所属する二十歳のスプリンターだ。

 山縣が一躍注目を集めたのは今年5月に開催された織田記念陸上。彼は地元・広島の地で、五輪出場標準A記録を突破する10秒08をマーク。今季国内トップの記録だった。「ここ(広島ビッグアーチ)は相性が良い」。走り慣れた場所で日本陸上界のトップへ一気に駆け上がった。しかし何故、山縣は急激に頭角を現したのか。それは『意識の変化』にあった。

広島アスリートマガジン2012年7月号に掲載された山縣亮太選手の記事。