悲願の金メダルを目指す侍ジャパンが連勝でA組1位通過を果たした。7月31日に行われたメキシコ戦は、3点リードの9回に栗林良吏が登板。カープの守護神が、日本の守護神としてマウンドにあがり、相手打線を三者凡退に抑え、日本に勝利をもたらした。

 ここでは、新人ながら大車輪の活躍を続ける栗林が、今年のペナントレース開幕直後に本誌の独占インタビューで語った声を厳選して取り上げ、重圧のかかるマウンドに挑む栗林の思いに迫る。

新人ながら守護神として活躍を続ける栗林良吏投手。

◆エース直伝のカットボールと永川コーチ直伝のフォーク

─春季キャンプから一軍。先輩投手と過ごしたことで、多くのことを吸収できたのではないですか?

「そうですね。大瀬良(大地)さんと森下(暢仁)にはカットボール、永川投手コーチと横山投手コーチからはフォークボールの投げ方や使い方、投げる時の意識の仕方などを教えてもらいました。この他にもたくさんの方からいろいろなアドバイスをいただきました」

─カットボールはシーズンに入ってからよく投げられています。アドバイスを聞いたことで、どんな部分が良くなったと感じていますか?

「球の軌道でイメージしているのは、真っ直ぐに近い曲がりをする大瀬良さんや森下のカットボールです。この球を自分のものにできれば投球の幅が広がると思ったので教えてもらいました。しっかりと投げ切ることができれば、打者の手元で曲がるイメージ通りの球になりますが、球数が多くなってきたり、投げ急ぐとスライダーに近い曲がりのカットボールになることもあります。ただ、イメージする球は多くなってきたので、徐々に良くなっているのかなと思います」

─落差をつける必要のあるフォークボールについてはどうでしょう?

「フォークボールの使い方については永川投手コーチにたくさん教えてもらいました。今まで自分は、低め低めの意識で投げてきましたが、漠然と低めに投げるのではなくて、ストライクゾーンの中でもちゃんと落ちていれば、打者は嫌がるよと教えていただき、低めに投げるだけではなく、落として低めにいく意識も持つようになりました」

◆佐々岡監督の言葉が背中を押した

─キャンプ、オープン戦と順調に結果を残したことでクローザーに抜擢されました。佐々岡監督からはいつ、どういった言葉で指名を受けたのですか?

「オープン戦最後の対戦カード、ソフトバンクとの三連戦初戦の試合前に、佐々岡監督に呼ばれて『今シーズンはクローザーをやってもらう』と伝えられました。また、『結果が出ても結果が出なくても、責任は俺がとるから全力でやってくれ』と言っていただき、その言葉は自分の大きな励みになりましたね。ただ、その言葉に甘えたらいけないと思うので、シーズンが終わった時に、佐々岡監督に“クローザーを任せて良かった”と思ってもらえるように頑張ります」

─永川投手コーチもプロ1年目からクローザーに抜擢され結果を残されました。クローザーとして投げるうえで永川投手コーチからどういったアドバイスがありましたか?

「フォークボールの使い方もですが、メンタルを整えるという意味で準備の大切さは何度も教えていただきました。今年は特別ルールの関係で、クローザーが投げるのは9回とほぼ決まっています。登板が回ってくる順番は分かっているので、最終回から逆算して、ルーティンなどを含めてしっかり準備していこうということをアドバイスいただきました。打たれたらチームの勝ちも先発投手の勝ちも消える可能性が出てくる責任感のあるポジションなので、最低限準備だけはしっかりしようと心に決めています」