10月11日にいよいよプロ野球ドラフト会議が開催される。ここでは改めてカープ選手がドラフト当時の思いについて語った言葉を振り返っていく。今回は、今や日本を代表する捕手となった會澤翼の言葉を紹介する。

2006年に行われた入団会見時の會澤翼選手。

 高校生ドラフトと大学生・社会人ドラフト、2回に分けて行われた2006年のプロ野球ドラフト会議。この年の高校生ドラフトでカープは2人の高校生を指名した。1人は、現在、大リーグでプレーする前田健太(ツインズ)。そしてもう1人が、カープの正捕手・會澤翼だ。

 高校通算35本塁打のパワフルなバッティング、そして、二塁まで1.8秒で到達する強肩で各球団から注目されていた。また高校生であることを感じさせない貫禄のある堂々とした面構え、がっしりとした体格も特徴的だった。

「僕をずっと見ていてくれた苑田さん(当時スカウト部長)から、ブラウン監督が付けていた(ドラフト会場)入場パスをサイン入りで頂きました。ブラウン監督は『退場』のイメージですね(笑)。熱血監督、という感じで自分に合うんじゃないかと思いました」

 新入団会見では、あごひげを生やして、学生服は短く詰めた学ランに幅が広いパンツ。いわゆる短ランとボンタンで登場し周囲を驚かせた。

「少しでも話題になったのならよかったですね。顔を知ってもらわないと売れないし、あれは自分の手の内です(笑)」

 カープ入団後の2007年春に行った本誌インタビューでは、笑顔でお茶目な部分も見せてくれた會澤。捕手の話になると、真剣な眼差しで熱い思いを届けてくれた。

「自分にとっては、野球というのは捕手そのものなんです。他のポジションをやりたいとかそういう思いもありません。自分にとって野球の華は捕手だと思っていますから。捕手が良くなかったら試合には勝てない。ゲームを進めるのは投手かもしれませんが、裏でゲームをつくるのは捕手なんです」

 小学校4年生から捕手一筋。“捕手はチームの華”と言い切り、投手を鼓舞し、チームを引っ張ってきた會澤にとって、捕手というポジションはずっと特別な存在だった。

 石原慶幸という大きな存在の背中を追いながら、2017年からは3年連続ベストナインを受賞し、球団初のリーグ3連覇にも大きく貢献。また2019年に開催されたプレミア12では、侍ジャパンの正捕手として優勝に貢献した。振り返ると、2006年の高校生ドラフトは、後のメジャーリーガーとチームの大黒柱を獲得できた大成功のドラフトだったと言えるだろう。