2021年ドラフト会議が10月11日に行われる。今季苦しい戦いを強いられているカープは一体どんな選手を指名するのか注目される。未来のカープを支える選手発掘の過程の中で、これまでカープはどのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか?

 ここでは直近10年間のカープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。今回は緒方孝市前監督が初参加となった2014年のドラフトに触れていく。

緒方孝市前監督が初参加となった2014年ドラフト。1位指名は野間峻祥(前列中央)だった。

 2014年ドラフトの主役はズバリ高卒、大卒共に“投手”だった。安樂智大(済美高・現楽天)、高橋光成(前橋育英高・現西武)、山崎福也(明治大・現オリックス)、有原航平(早稲田大・現レンジャース)ら有望株が多く名を連ね、ドラフト前からスポーツニュースや各誌面などを賑わせていた。

 その中でカープは、競合覚悟で地元出身で広陵高でも活躍した本格派右腕・有原の獲得に乗り出した。しかし4球団競合の末に行われたくじ引きの結果、日本ハムが交渉権を獲得。前年の大瀬良に続く、大卒即戦力投手の入団はならなかった。

 その後、外れ1位としてカープがリストアップしたのは、緒方監督が一目惚れしたという野間峻祥(中部学院大)だった。「肩と足は即プロで通用する」との評価を受けていたスピードスターを、迷うことなく指名し交渉権獲得にこぎつけた。

 以降のカープは独自路線を貫き、実績をほとんど持たない薮田和樹(亜細亜大)を2位で指名し周囲を驚かせた。大学時代はケガに苦しみわずか3試合の登板にとどまったが、将来性を買った松本有史スカウトの進言もありカープが交渉権を獲得。2017年には15勝をマークするなど、優勝に貢献した。

 3位は2020年にリリーフとしてブレイクを果たした塹江敦哉(高松北高)を指名。150キロ超の直球を持つ本格派左腕は、二軍での長い下積み経験を経て、カープブルペン陣に欠かせない存在となっている。

 すでに5名の選手がカープ選手としてのユニホームを脱いでいるが、ドラフト6位の飯田哲矢(JR東日本)は2019年限りで退団となったが、三軍スコアラーとして現在もカープに貢献している。

【2014年 カープドラフト指名選手】
1位:野間峻祥(中部学院大・外野手)
2位:薮田和樹(亜細亜大・投手)
3位:塹江敦哉(高松北高・投手)
4位:藤井皓哉(おかやま山陽高・投手)
5位:桒原樹(常葉学園菊川高・内野手)
6位:飯田哲也(JR東日本・投手)
7位:多田大輔(鳴門渦潮高・捕手)
育成ドラフト1位:松浦耕大(MSH医療専門学校・捕手)
育成ドラフト2位:木村聡司(常葉橘高・内野手)