広島の鈴木誠也(27)がポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明した。日本を代表するスラッガーを巡り、メジャー複数球団による争奪戦が予想されている。

2013年1月に大野寮に入寮した鈴木誠也

 鈴木は二松学舎大付高から2012年ドラフト2位でカープに入団。ルーキーイヤーから一軍での出場機会を得ると、プロ4年目には「神ってる」活躍で大ブレイク。その後は3連覇を果たしたチームの若き4番として打線を牽引してきた。

 ここでは、日本を代表する打者へ成長するまでの鈴木のプロ9年間の軌跡を辿る。今回は入寮、そしてプロ初練習を振り返っていく。

◆高校1年から愛用しているアイテムと共にプロ生活をスタート

 2013年1月、冷え込みの厳しい広島・廿日市市の大野寮に新人選手たちが入寮した。入寮日に、鈴木が報道陣に披露した持参アイテムは愛用の「香水」だった。

「親からプレゼントしてもらった香水を持ってきました。このニオイは落ち着くので(笑)。1年目から一軍に出る気持ちでやりたいです」

 高校1年の誕生日に、両親からプレゼントされた香水の香りが気に入り、それ以降もリラックスできるからと使い続けてきた。3年間愛用した香水の香りは、プロ生活をスタートさせた鈴木にとって、お世話になった両親の存在を身近を感じるものになったのかもしれない。

 そして、入寮翌日から始まった新人合同自主トレーニングで鈴木は軽快な動きを披露した。

「いよいよ始まるんだなと思いました。思ったより体も動きましたし、あまり緊張もなくできました。プロの練習についていけるように、しっかりと体作りをしていきたいと思っています」

 室内練習場で鈴木を含む新人7人はランニング、キャッチボール、ノックを行うなど、約4時間のプロ初練習を終えた。練習の途中には当時カープ不動の4番であった栗原健太と遭遇し、いきなり“カープの4番”と初対面。緊張した面持ちで栗原と挨拶を交わした。

 順調に自主トレを消化して春季キャンプを迎えた鈴木。キャンプイン直後の2月2日には1日限定とはなったが、一軍キャンプにも参加。当時の指揮官である野村謙二郎監督が見守るなかで、練習を行うなど、キャンプから非凡な才能は注目されていた。