10月3日の名古屋戦、ホームを湧かせたショートカウンターからの先制点。得点への強い執着心が、再現不可能なスーパーゴールを生み出した。スピードと相手DFの裏取りで、何度も何度も、貪欲にゴールを狙う広島の11番に相応しいエースストライカーを目指し躍動を続けていく。(全4回のうち3回目・取材は11月中旬)

今季6ゴールをあげた浅野雄也。目標にしている2桁得点を来季こそは達成し、ストライカーの座を奪いたい。

◆パスを出してもらいやすい動き出しを心がける

2回目から続く)
―名古屋戦に続き、10月23日の仙台戦もワントップでスタメン起用されましたが悔しい結果(●2-0)に終わりました。敗因は何だったと思われますか?

「修正力不足というのがあると思います。試合の中でうまくいっていない時に、どう改善していくのかをチーム内で話し合ったりなど、そういう調整ができていませんでした。なので、攻撃においても、試合中に立て直すことができませんでした。試合中に声をかけ合ったりはしていますが、どういう風にボールを運んで攻撃の形を作っていくか、もっと考えることができたら良かったと思っています」

―チーム内での声出しやコミュニケーションについてですが、OBの吉田安孝さんが浅野選手に対して、『仲間にもっと強くボールを要求してほしい。貪欲にゴールを求めていけば、将来エースストライカーになりうる』と言われていました。  

「その通りだと思います。パスが欲しい時に、もっとこうしてほしいなど要求を伝えることはありますが、そこまで強くは言えていないと思います。アオさん(青山敏弘)ともそういう話をするのですが、『もっと呼んで』と言われています。なので、そういう声を出すことは意識していきたいですし、パスを出してもらいやすい動き出しも心がけたいと思っています」

―では反省点についてはこのぐらいにして……、浅野選手の魅力に迫っていきたいと思います。ご自身が思われている〝強み〟は、どのようなところですか?

「ボールを持って前を向いてからのスピードだと思っています」

―ドリブルは兄の浅野拓磨選手より上手いという評価も聞きます。さらに運動量もありますよね。

「どうですかね……まぁ、ドリブルはタク(浅野拓磨選手)よりは上手いと思っていますけど(笑)。運動量はそこまで多い方だと思っていなかったんです。意識したこともありませんでした。ただプロになってから、試合が終わった後に走行距離を見ると、結構走っているので驚きました」

―次は内面について伺います。浅野選手は、明るく元気なキャラクターで、サービス精神が旺盛だと感じています。これはサポーターのみなさんに喜んでもらいたいという気持ちからのものですか?

「サンフレッチェの前に所属していた水戸では、選手とサポーターの距離がめちゃめちゃ近かったんです。練習後に普通に話したり、試合後もファンサービスをしてからバスに乗っていました。良い意味で、友達のような感じで話しかけられたりする雰囲気が居心地いいと感じていたので、その影響があるのかもしれません。あとは、ただただお喋りが好きなだけなのもありますね(笑)。なので特別何かを意識しているというわけではありません」

―そういうフラットな人柄も浅野選手の魅力ですね。今後の目標を教えてください。

「来シーズンこそは2桁得点を成し遂げたい。毎試合ゴールを決めるぐらいのつもりで戦い、広島の11番を背負えるぐらいのエースストライカーを目指したいと思います」

《プロフィール》
浅野 雄也 1997年4月25日生 三重県出身/MF
■ クラブキャリア
2019:水戸ホーリーホック/34試合・4得点
2020:サンフレッチェ広島/32試合・5得点
2021:サンフレッチェ広島/37試合・6得点
※記録はリーグ戦のみ。