いよいよ始まった2022年。昨年はカープ、サンフレッチェ共に、思うような結果を残せなかったが、若手が台頭するなど、未来への希望を抱かせてくれる戦いを見せてくれた。また、東京五輪が開催されるなど、スポーツがおおいに盛り上がった一年になったと言えるだろう。

 広島アスリートマガジンWEBでは、これまでカープやサンフレッチェをはじめ、広島のスポーツの魅力を伝えてきた。そこで、昨年特に反響の多かった記事を振り返り、2022年のスタートを切る。

 ここでは、未来のカープを支えるキーマンたちを発掘した担当スカウトに獲得の裏側を聞いた記事から、森浦大輔の獲得エピソードをお届けする。担当した鞘師智也スカウトが新人リリーフ左腕を見出した理由とは。(2021年11月12日掲載)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆“絶対に負けない”その熱い気持ちも森浦の魅力

昨季、新人ながらチームトップの54試合に登板した森浦大輔(右)。

<森浦大輔獲得秘話(担当:鞘師スカウト)>

 森浦のことは高校1年の秋からマークしていました。3年になって調子を落としましたが、進学した天理大で活躍を続けていたので、1学年上の石原貴規(2019年ドラフト5位)の視察も兼ねて、頻繁に試合を見に行っていました。

 大学1年の時に16三振を奪い完投した試合があるのですが、この時の球のキレ・スピード・コントロール、全てが完璧で衝撃を受けたのを覚えています。4年間の間に、調子を崩した期間もありますが、高校から成長過程を見てきていたので、自信を持って上位指名候補として推薦しました。

 私は野手出身なので、投手の技術の細かいところまでは分かりません。大事にしているのは自分が打者として対戦した時の感覚です。自分が嫌だと感じる部分をどれだけ持っているかを評価基準にしています。

 それでいくと、森浦はとにかくコントロールが安定していました。あと、マウンドでの立居振る舞いですね。ファンのみなさんからすると、口数が少なく物静かなイメージがあるかもしれませんが、しっかりと自分の考えを持ち、納得しないと動かない、良い意味での頑固さも持ち合わせています。あとは気持ちの強さ。絶対に負けない、そんな熱い気持ちをマウンドから常に感じたのも森浦に惚れた理由の一つです。 

●森浦大輔(もりうら だいすけ)
1998年6月15日生(23歳)/和歌山県出身/175cm・72kg/左投左打/投手/天理高-天理大-広島
【2021年成績】54試合 3勝3敗17ホールド 防御率3.17 48.1回 41奪三振 

●鞘師智也(さやし ともや)
1980年5月6日生、大阪府出身。報徳学園高-東海大を経て、2002年ドラフト4巡目でカープに入団。現役時代は俊足巧打の外野手として活躍した。2010年限りで現役引退すると、翌2011年からスカウトに転身。現在は主に関西地区を担当し、岡田明丈、小園海斗、林晃汰らの獲得に成功した。今年のドラフトでは、黒原拓未(ドラフト1位)、森翔平(ドラフト2位)などを担当した。