毎年のように期待をかけられながら、これまで結果を残すことができなかった塹江。
だが、プロ6年目の今季はオープン戦で見違えるような球を投げ込み、成長の証を見せつけた。周囲の助けを得ながら自信を取り戻した左腕は、この道を突き進んでいく。

広島・塹江敦哉投手

—塹江投手にとって昨季はどんな1年間でしたか?
 「春のキャンプから全然ダメで、『このままじゃ終わる。何かを変えないと』と思っていました。また150キロを投げてもコントロールが悪くて、追い込まれて甘い球を投げて打たれるという、そういう自分のイメージを払拭したいという思いもありました。自分自身課題はよく分かっていたつもりでしたし、周りもそういう自分に見飽きてきたんじゃないかと思っていました。そういうこともあって『なんとか出口を見つけて頑張ろう』と思ってやっていましたが、自分だけの力じゃ厳しいと気づいたのも事実です」

—そうした状況の中、周囲からの協力は得られたのでしょうか?
 「最初はまったく投げられていない状況だったのですが、幹英さんや、菊地原さん(二軍投手コーチ)につきっきりで見てもらって、だんだんと良い球が投げられるようになりました。7月に一軍にあがったときは、自分の実力で上がったというより、周りに一軍に押し上げてもらったイメージでした。そのときは結果どうこうよりも、やってきたことが一軍で出来なかった時にこれまで協力してくれていた人たちを悲しませてしまうと思ったので、なんとか自分がやってきたことを見せるようにということを意識していました」