鬼門と呼ばれる交流戦を5勝13敗と、3季連続で最下位に終え、リーグ戦再開後も3連敗スタートとなったカープ。OBの笘篠賢治氏に、ここまでの戦いを見て感じたことを語ってもらった。

二軍で16盗塁(6月19日現在)を記録している羽月隆太郎

◆今こそ、足を使った野球の実践を

 6月17日からのリーグ戦再開。交流戦の雰囲気を引きずらず、気持ちをリセットして、ゼロからのスタートだと思って臨んでほしかったのですが、首位・ヤクルトに連敗スタート……。このままずるずるといくと、少し危険です。

 前回も触れましたが、西川龍馬の不在が得点力不足に直結しています。投手戦で勝ち続けるのはやはり難しいですし、打順の組み替えや、足を使っていく戦い方を増やすなど、手を打たないといけないでしょう。

 交流戦のラスト2試合は一番に宇草孔基を起用していましたが、出塁率を考えると、どんどん振っていく積極性はいいのですが、勝負が早いぶん、先にカウントを稼がれたときなどは厳しいです。投手からすると、1番打者は粘り強い打者のほうが嫌らしいものです。

 例えば、オリックスの福田周平。彼を見ているとバットを短く持って、コンパクトなスイング。ボール球を振らずファールで粘る。そういうことがしっかりできています。

 ヤクルトを見ても、山崎晃大朗や長岡秀樹など、自分のスタイルをしっかりと理解した打撃をやっていますよね。強く遠くに飛ばそうとは思っていないはずです。打撃練習ではそういった練習をしていると思いますが、実際の試合では別です。宇草のスタイルからすると、一番よりも下位で自由に打たせたほうがいいかもしれません。

 そう考えると、やはり野間峻祥を一番で固定して、粘り強く使い続けてもらいたいです。そして、二番は上本崇司。出塁に期待できる二人で上位を固めたいいところです。そうなると坂倉将吾を三番に上げてもいいのではないでしょうか。歩かされても後ろに長打を打てるマクブルームがいるので、得点につながりやすくなるはずです。そして、五番に松山竜平や堂林翔太、會澤翼あたりを置くのが良いと思います。六番には菊池涼介。そういった流れのほうが相手投手からすると嫌かもしれません。

 あとは足を使うために、二軍から羽月隆太郎を上げるのもいいでしょう。二軍の選手たちも一軍の試合を見ているはずなので、チームがこんな状況で、長打がなかなか出なくて得点力不足に悩んでいるのに呼ばれないとなると、キャンプから言ってきた“足を使う攻撃”をやらないのかと思ってしまうかもしれません。

 後半戦までもつれ込む可能性を考えると、早いうちに手を打つ必要があります。シーズン終盤に昇格させても、早々簡単に結果は出ないですから。長い目で見ても若手を使うタイミングがあってもいいはずです。それがまた勢いをつける要因になるかもしれないですしね。