交流戦では最下位となったカープ。エース大瀬良が離脱など、序盤から好調を維持していた先発陣が不調に陥り、さらに苦しい戦いが強いられた。

 しかしリーグ戦再開後に5連勝を記録するなど、チームは復調の兆しも見せている。ここでは、改めて苦戦が続いた交流戦の投手陣について、カープOB・大野豊氏に振り返ってもらった。

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ここまで12試合に先発し6勝4敗を記録している大瀬良。エースの完全復活が待たれる。(写真は2022年春季キャンプ)

◆交流戦での大瀬良はここ一番で失点が続いていた

 改めて交流戦を振り返る中で、選手個人に関して触れていきます。まずエースである大瀬良が不調のため登録抹消となってしまいました。

 投球内容を見ていると、特にストレートの精度が悪くなっていました。その影響で、全体的なコントロールもアバウトになってしまっているのではないでしょうか。ただ、しっかりと投げることはできているので、まったくダメだというわけではありません。良いピッチングをした試合もたくさんありましたが、交流戦までの大瀬良を見ていると、「ここを抑えてほしい」という場面での失点が目立っているように感じました。

 本来であれば、そういう場面でひと粘りを見せてほしいところでしたが、そこが思うように投げられない状態になっている、ということもあって登録抹消につながったのではないかと思います。大瀬良はいつも冷静にピッチングができる投手ですが、この先はもう少し『覇気』を出した投球を意識するのも良いかもしれません。

 一方で、今季内容の良い投球が続いている床田寛樹ですが、彼は今年のキャンプの時点から、非常に良い状態を維持できていました。また、悪い状態をいつまでも引きずらないという点も床田が成長した証です。今年は二桁勝利もできる力をつけてきていると思いますから、非常に楽しみな投手になってきました。

 またアンダーソンも、引き続き良い投球を見せてくれています。確かに打たれてしまった試合もありますが、先発の戦力として十分にやってくれているのではないでしょうか。これから夏場に向けては、低いゾーンに球を集めるピッチングをすることで、さらに安定感も増してくるのではないかと思います。

 どの投手も良い球は投げていますから、次はその良い球を投げる確率をあげられるように、何ができるかを考えて、実践し、身につけなければなりません。

 いま安定感のあるピッチングができれば、自分の立ち位置を確保できるということですから、チームにとっても自分にとってもプラスになります。そうした点も踏まえて、交流戦明けからの戦いに臨んでもらいたいと思います。

 投手陣に関しては、先発陣がもっとしっかりと試合をつくって、序盤での失点を防ぐことが重要です。そしてそのあとを任されたリリーフ陣がしっかりと投げ切って、良い形で最終回の栗林につなぐことができれば良いですね。

 ビハインドの試合であっても、相手の攻撃の流れを断ち切ることで逆転につなぐことができるだけに、リリーフの働きは非常に重要です。

 先発陣もリリーフ陣も、チームに良い流れを引き寄せる投球ができるように、もっと強くなってほしいと思います。