3季連続で交流戦最下位となったカープ。だが、リーグ戦再開後は5連勝を記録するなど、復調の兆しを見せつつある。ここでは改めて交流戦で見えた課題や新たな収穫、さらにシーズン後半戦に期待したい選手について、カープOBの笘篠氏が独自の目線で解説する。

5月31日に昇格した中村奨成。交流戦では存在感を示していた。

◆経験の浅い選手たちの活躍が、今後のカープの鍵を握る

 後半を戦う上で今のカープに必要なのは、やはり上本崇司のような“攻め”のプレーだと感じています。開幕直後からの序盤戦は特に上本がチームに活気をもたらしていました。

 打線においてはつなぎの打撃を展開しており、彼の場合はチームのムードも上げています。総合的に考えても、今のカープに必要不可欠な存在であると感じます。さらに四球を選べるということは、いやらしく粘ることができている証拠であり、相手投手に球数を多く投げさせることができているということです。

 仮に上本が上位打線にいるならば、当然打席数も多くなるので、なおさら効果的です。6月5日のオリックス戦では、2シーズンぶりとなる、ショートスタメンで出場し2安打と良い働きをしました。

 上本もここまで、シーズンを通しての一軍出場経験がなく、開幕からの疲れも溜まっているかもしれません。ですが、体の疲れも取れ、再びチームに勢いを与えてくれるはずです。そう考えると後半戦は、上本の起用法がポイントになるでしょう。

 注目するのは中村奨成です。交流戦では捕手や外野での出場機会をつかみ、ここぞの場面でタイムリーを放つなど勝負強い打撃を見せました。この結果は、キャンプから積み重ねてきたことが試合で活きてきている証だと言えます。思い切りが良く、積極的に振り、追い込まれてからも粘れていました。

 さらに簡単に三振するのではなく、形が崩されようが、食らいついていく気持ちが彼の打撃から感じ取れます。 “継続は力なり”というように、積極打法を続けているからこそ、良い結果につながったのだと思います。

 今の中村には昨年の坂倉将吾のように、捕手や内野手でも、とにかく“試合に出たい”という気持ちが最も重要だと思います。

 交流戦でカープは苦しい戦いを強いられましたが、まだまだ勝負はここからです。セ・リーグの上位3位以内でシーズンを終え、優勝を狙うためには、ここから立て直すことが非常に大事になってきます。

 ここまでのミスを今後起こさないためにも、“失敗は成功のもと”と捉えて、対策をしていってほしいと思います。