思わず心を奪われる! カープの話題をゆる〜くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、新たなカープの魅力を切り取る。今回は、復活が期待される『新選手会長・田中広輔』に注目!

同じ“会長”でもちょっとイメージが違う會澤翼選手と田中広輔選手

選手会長に選ばれる基準とは

6月19日、待ちに待ったプロ野球が開幕した。ファンがこれだけやきもきしていたのだから、先の見えない状況の中で練習を続けてきた選手たちの苦労はいかほどだっただろうか。開幕戦を含め、当面は無観客で行われるということで、試合前には華々しい開幕イベントの代わりに、各球団の代表選手による宣誓が行われた。

カープの代表選手は、今シーズンから選手会長を務める田中広輔である。田中は医療従事者への感謝を述べた後に「我々が全力で戦う姿を披露し、少しでも世の中に明るい話題を届けられるように戦ってまいります」とよどみない宣言で締めくくった。その姿を見て思った。

「選手会長って、なんだか生徒会長みたいだなあ」と。

そもそも選手会長とは何だろうか。プロ野球界においては日本プロ野球選手会があり、これはプロ野球選手の地位向上を目的として設立された組織である。日本プロ野球選手会は、一般社団法人としてはチャリティ活動などの公益事業を行い、労働組合としては球団との待遇改善交渉を行うなどの役割を担っている(日本プロ野球選手会ホームページより)。各球団の選手会は日本プロ野球選手会の下部組織のようなもので、その選手会長とは、例えて言うなら労働組合の支部長といったところだろうか。チームの各選手のさまざまな意見を聞いて取りまとめるのが選手会長の役割でもある。グラウンドにおいてチームを引っ張る役割としてキャプテン制を採用するチームもあるが、現在のカープはキャプテン制を取り入れていないだろうだけに、実質選手会長がチームのリーダーと考えても良いだろう。

選手会長は大体2年ごとに交代する。ここ10年ほどの選手会長は、石原慶幸(2010~11)、東出輝裕(2012~13)、梵英心(2014~15)、小窪哲也(2016~17)、會澤翼(2018~19)となっている。大体30歳前後のレギュラー選手が指名されることが多いが、成績だけではなく、人柄も大きく影響する。チームの信頼を得ている選手が選ばれるのはもちろんではあるが、その「信頼」の得方にそれぞれ特徴があるように思う。

たとえば小窪は小学校から大学までの全てのチームで主将を務めた、いわばリーダーのエリートである。會澤は熱い心を持ち、後輩らから慕われる統率力を備えている。『もしここが「カープ高校」であったなら、會澤会長は不良の生徒達からも一目置かれる生徒会長になるんだろうな……』などと想像してしまう。その會澤から新しく指名された生徒会長、もとい選手会長の田中。田中選手会長のイメージは“優等生”である。