丸佳浩のFA移籍後は、常に『4番・鈴木誠也の前後を打つ打者は誰か?』がテーマとなっている。圧倒的な打撃力でリーグ3連覇を成し遂げたカープだけに、V奪還を果たす上では避けては通れない重要なテーマの一つだ。そんななか5番の最右翼と目されているのが松山竜平。今季は体調不良により調整の遅れが心配されたが、スタメン復帰試合ではいきなり安打を放ち存在感を見せつけた。ここでは不動の5番定着が期待される松山の、ルーキー時代の声をお届けする。
(広島アスリートマガジン2008年7月号掲載)

松山の豪快なフルスイングは入団当初から変わらない。ルーキーイヤーは2試合のみの一軍出場にとどまったが、2年目以降はコンスタントに試合出場を果たしている。

松山選手にとってプロ野球選手として、ここまで激動の5カ月だったのではないでしょうか。キャンプでは豪快なバッティングで連日快音を響かせ、首脳陣から好評価を得て、マスコミからの注目も一気に集めました。
「バッティングの方では自信はあったんですけど、実戦に入っていく中でやっぱり自分の弱点を相手に見抜かれて結果も残せなくなっていきました。最初は行けると思っていたんですけど、プロの世界はそんなに甘くないなと痛感させられました」

プロの世界が厳しいと感じたものは何だったのでしょうか?
「自分はストレートには強いんですけど、変化球に対して待ちきれないというところがあります。また、配球を読むタイプではないので、配球を組み立てられてコースを突かれると、一軍の投手は簡単に打てないなと感じました」

キャンプ終盤に二軍降格となりましたが、監督やコーチから何か声をかけられたのでしょうか。
「いえ、とくに修正はしなくていいと。形はできているから、フォームなどの技術的なことは修正せずに実践を積んでドンドン振り込んでプロの投手に慣れていってほしいと言われました」

開幕を二軍で迎え、クリーンアップを任されるなどご自身の中でどういった意識で試合に臨んでいたのでしょう?
「打順は特に意識せず、ただがむしゃらに早く一軍に上がりたいという一心でボールに食らいついていました」

ウエスタンの打撃3部門全てで上位にランクインするなど、圧倒的な存在感を示し4月24日に初の一軍昇格を果たしました。
「自分の中では、やっぱりスタメンで出してもらいたいという気持ちがありました。ただ自分の守備ではスタメンは厳しいと分かっていたので、代打でどれだけ結果を残せるかと考えて試合中もずっとバットを振っていました」

昇格した日に代打として登場し、プロ初打席にたちました。
「一球振ったら緊張はなくなりました(空振り)。とりあえず一球目をどんな形でもいいので、振ってやろうと思っていたので、それで吹っ切れた部分がありました。ただ最後は少し甘い球を打ち損じてしまいました」