思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は、今シーズンカープファンを悩ませる『守護神』について取り上げる。

神様と日本のプロ野球

 日本では至るところに神様がいる。台所やトイレにもいると言われているのだから、きっと球場にもいるに違いない。

 勝負の世界に生きる野球選手たちは、昔から『神様』と切っても切れない関係を続けてきた。広島護国神社で毎年必勝祈願を行うカープを始め、多くの球団がシーズン前に神社を訪れていることからもそれが伺える。かつてロッテの本拠地であった東京球場(1972年に閉鎖)には、場内に神棚があったという。この『野球の神様』は、『勝たせて下さい』という願いを叶えてくれる、いかにも日本的な現世利益の神である。

 しかし『神様』はそれだけにとどまらない。実在の選手も時に『神様』になることがある。こちらは主にファンからそのように呼ばれるようになり、定着するというパターンがほとんどだ。古くは『打撃の神様』と呼ばれた川上哲治(巨人)や、『神様・仏様・稲尾様』と呼ばれた稲尾和久(西鉄)などがいる。彼らは8年連続シーズン打率3割以上を記録したり、年間42勝を記録したりするなど、普通の人間では及びもつかないプレーをすることで『神様』と呼ばれるようになった。ここ十数年のカープで言えば、『前田神』と呼ばれた前田智徳、『神ってる』と呼ばれた鈴木誠也の活躍などがこれに当たる。

 一方、応援しているチームを勝たせて欲しいというファンの祈りが、選手を『神様』と呼ばせるようになることもある。たとえば代打での高打率を誇った八木裕(阪神)の『代打の神様』という愛称は、『チャンスになればなんとかしてくれる』というファンの願望が込められた名称だろう。

 そのファンの祈りの結晶ともいうべき名称が、救援投手に冠される『守護神』ではないだろうか。9回に登板し、味方のリードを守って勝利へ導く投手。先発投手に比べて神格化される割合は非常に高い(上記の稲尾や、『神様・仏様・ルイス様』と呼ばれたコルビー・ルイスなどは例外である)。