東京六大学リーグで通算26勝をマークするなど2017年に鳴り物入りでカープに入団した矢崎拓也が、二軍で無双とも言える圧巻の投球を披露した。ここまで4試合にリリーフ登板し、打者15人に対し12三振を奪って5回を無失点。文句なしの結果を残したことで、8月18日に今季初の一軍昇格を勝ち取った。

二軍で好投を続けていた矢崎投手。力強い直球を武器に一軍でのブレイクを目指す。

 今季からカープに新設された通称『2.5軍』で、矢崎は畝龍実三軍統括コーチ、スコアラー、トレーナーの下で、実戦とは距離を置く形で課題の修正に取り組んできた。かねてから定評のある直球はもとより、スライダーの精度を強化。上半身の突っ込みを抑え、しっかりと下半身でタイミングを取ることで、最大の課題でもあった制球力が向上した。

 2.5軍で課題を修正することで、一足先に島内颯太郎が一軍で結果を残し始めている。リリーフ陣の強化が最重要課題のカープにおいて、島内に次ぐ矢崎の復調はまさに渡りに船。プロ初登板(2017年4月7日、対ヤクルト)で見せた9回1死までのノーヒットノーランが示すように、潜在能力は折り紙つきだ。

 連戦が続く中で、投手陣の駒は何枚あっても困らない。ここでは中継ぎの救世主として期待を集める、ドラ1豪腕右腕のプロ1年目の声を改めて振り返る。
(『広島アスリートマガジン』2017年3月号 ※当時登録名は加藤)

◆普段から何かに動じたりはあまりしません

― 自主トレからブルペンに入るなど精力的にトレーニングをされていますが、実戦に向けてはやる気持ちはありますか?
「特に焦りなどはありません。時期がくれば必然的に実戦に入ってきますし、そのための準備をしっかりしたいという気持ちが強いです」

― 今このインタビューもそうですが、入団以来メディアへの対応時に見せている非常に冷静な姿が印象的ですが、その点は意識されていますか?
「マウンドでの自分はまた別だと思いますが、普段から何かに動じたりはあまりしません。性格としては冷静な方だと思います」

― ドラフト1位で指名されたときはどのように思われましたか?
「指名されたことについてほっとしたのが一番です。1位という順位にはびっくりしました。ただ僕という人間は何も変わっていないのに、ドラフト1位という肩書きがつくことで、少なからず周囲が自分を見る目が変わってしまう部分はあると思いましたし、周囲の環境が変わっていくことに若干の戸惑いは感じました」