今から遡ること4年前の今日、2016年9月10日のカープナインと全国のカープファンは歓喜に沸いていた。 

 25年ぶりの優勝に向けて快進撃を続けていた当時のカープ。マジック1で9月10日の巨人戦を敵地・東京ドームで迎えていた。先発のマウンドに上がっていたのは、この年限りで引退する黒田博樹だった。

黒田博樹氏と共に精神的支柱としてチームを優勝に導き、MVPに輝いた当時39歳の新井貴浩氏。

 試合は初回、黒田が坂本勇人に2ランを浴びて先制を許すも、“神ってる”活躍で大ブレイクを果たしていた鈴木誠也の2打席連続ホームランなどで逆転。先発の黒田は6回3失点と粘りの投球を見せると、7回以降は今村猛、ジャクソンの必勝リレーで乗り切り、最後は守護神・中崎翔太が最後の打者・亀井義行をショートゴロに打ち取って、ついに25年ぶりの優勝を達成した。

 敵地東京ドームを真っ赤に埋めたカープファンは歓喜に沸き、グラウンドでは黒田博樹と新井貴浩が抱き合いながら涙していた。

 25年ぶりのVを果たした2016年、“逆転のカープ”の中心打者としてチームを牽引していたのが、新井貴浩氏(現野球解説者)だ。ここでは、当時リーグ最年長でリーグMVPに輝いた新井氏のシーズン終了直後のインタビューとともに、当時を改めて振り返っていく。

◆頭が真っ白になった優勝の瞬間

― 今季を振り返って、どんなシーズンでしたか?
「日本一になれず最後はやっぱり悔しかったですけど、素晴らしいシーズンで、僕の野球人生の中でも最高の1年でした」

― 改めて25年ぶりのリーグ優勝についてお聞きしたいのですが、決まった瞬間はどんなお気持ちでしたか?
「頭が真っ白になったというか、優勝したあの一瞬で苦しかったことがパーンと飛んだ感じになりました」

― 優勝が決まった直後、チームメートの輪の中で黒田博樹投手と抱き合っていました。
「今までのこと、特に苦しかったこと、辛かったことが、頭の中で一気に駆け巡りました。それが報われた思いで涙が止まらなくなりました。黒田さんがその前に号泣されていたので、その姿を見て僕も一気に涙をこらえられなくなりました」

― 緒方孝市監督、黒田投手の胴上げ後、新井選手の胴上げもありました。
「『俺はいいよ』と言ったんですけど、みんなに胴上げをやってもらって、本当にうれしかったですし、最高の気分でした。胴上げの経験も初めてだったので、最高にうれしいのと、『俺はいいのに』と思っていたので、ちょっと恥ずかしい気持ちもありました(笑)」

― 新井選手にとっては初優勝だったわけですが、初のビールかけはいかがでしたか?
「最高でしたね。最高でしたけど、あちこちの取材対応に追われていました(苦笑)。なので自分がみんなにビールをかける時間がほとんどなくて、逆にビールをかけられたのはすごく多かったですね。かけられてるのが9割でかけるのが1割くらいのもんですよ(笑)。なので、もう一回やって今度はたくさんビールをみんなにかけたいと思っています!」