大瀬良大地が戦線離脱、K.ジョンソンの長引く不調など、カープ先発陣は緊急事態とも言える状況だ。そんな中、ルーキーながら先発陣を支える森下暢仁の奮闘ぶりが光っている。

 8月は4登板のすべてでクオリティスタート(6回以上、自責点3以下)を記録し、勝ち星を3つ計上。そのうちの一つが無四球完封という、文句なしの結果を残している。

プロ初完封も記録した森下暢仁投手。球団新人投手の完封勝利は、2014年の大瀬良大地投手以来6年ぶりだ。

 7月10日にコンディション不良を理由に一軍登録を抹消されたものの、7月23日には先発ローテーションに復帰。直後の阪神戦ではプロ初の二桁奪三振となる10三振を奪い、復帰登板を白星で飾ってみせた。新人王候補として名前が挙げられているように、森下自身が意識しているという同期の大卒ルーキーと比べても圧巻の数字を残している。

「(他球団のルーキーの活躍は)やはり気になりますね。特にヤクルトの吉田大喜(日体大)だったり、中日の郡司裕也(慶応大)などは、大学時代にリーグで戦ったり、大学日本代表として一緒に戦ったメンバーの活躍は気になってしまいますし、良い刺激を受けています」

 開幕前のインタビューでは上記の選手に加え、同じく大卒選手となる佐藤都志也(東洋大)、郡司裕也(慶應大)、海野隆司(東洋大)、津森宥紀(東北福祉大)、柳町達(慶應大)の名前も口にした。

 “大卒ルーキー”という括りの中において、いかに森下が安定した成績を残しているのかは、以下の数字(9月10日現在)を見れば一目瞭然だ。

・森下暢仁(カープ)/投手/ドラフト1位/11試合6勝2敗0S/71.2回/防御率2.39
・吉田大喜(ヤクルト)/投手/ドラフト2位/8試合1勝4敗0S/39.2回/防御率4.99
・津森宥紀(ソフトバンク)/投手/ドラフト3位/13試合1勝0敗0S/14.1回/防御率3.14
・郡司裕也(中日)/捕手/ドラフト4位/19試合52打数9安打0本塁打/打点4/打率.173
・佐藤都志也(ロッテ)/捕手/ドラフト2位/36試合61打数14安打1本塁打/打点8/打率.230
・柳町達(ソフトバンク)/外野手/ドラフト5位/6試合1打数0安打0本塁打/打点0/打率.000
・海野隆司(ソフトバンク)/捕手/ドラフト2位/【二軍】33試合101打数22安打0本塁打/打点11/打率.275

◆大卒の同期だけではなく、年下の遠藤淳志もライバル視

 大瀬良大地、クリス・ジョンソンが一軍登録を抹消されるなど、窮地に追い込まれているカープ先発陣。そんな状況下で年間通じての活躍が期待されるのが森下であり、開幕から先発ローテーションを死守している九里亜蓮や遠藤淳志らだ。森下自身も同世代で唯一年下となる遠藤の存在は、常に刺激になっているという。

 「遠藤は年下ですけど、開幕からしっかり先発ローテーションを守って投げているので、本当にすごいなと思います。やっぱり遠藤が良い投球をすれば、自分も良くないといけないと思うので刺激になります。良いライバル関係と言いますか、負けないように良い投球をしなければならないと思っています」

 線の細さが目立った入団直後と違い、今ではマウンド上で風格すら漂わせるようになった。9月最初の登板となった4日のDeNA戦でプロ入り最短の3回で降板となったものの、9月10日のヤクルト戦では7回1失点で6勝目をマークし、修正能力の高さを証明した。

 背番号18を継承した次代のエースが、この先もチームに勝利を呼び込むために右腕を振り続ける。