カープ入団時はドラフト9巡目指名ながら、現役時代は一軍の舞台で印象深い活躍を見せたOBの天谷宗一郎氏。現在のカープでも、下位指名の選手たちが一軍、二軍を問わず猛アピールを続けている。

泥まみれになりながら打撃練習に没頭する羽月隆太郎選手。

 ドラフト下位指名から、一軍の舞台へと駆け上がった天谷氏は、続々と一軍初昇格を果たす若鯉たちをどのように見ているのだろうか? ここでは自身の体験をもとに語る”ドラフト下位指名“の若鯉評をお届けする。

◆自分が9巡目入団だっただけに、下位指名選手のことは気になってしまいます

 次にドラフト6位入団の正隨選手についてです。現状では代打での出場が中心ですが、初打席では初球から自分のスイングをして、思い切りの良さを見せることができたのではないでしょうか。なんといっても打撃が売りの選手なだけに、とにかく打って結果を残すしかありません。

 自身の最大の持ち味である“長打力”を忘れずにアピールしてほしいです。また、今後は状況に見合った打撃内容を見せることができれば、一軍首脳陣からの評価は高まっていくと思います。貴重な右の長距離砲候補として、レギュラーを目指してほしいですね。

 そして羽月選手のプロ第1打席は犠打となりましたが、これは本当にすごいことです。ただでさえ緊張する初打席で“決めて当たり前”と思われる犠打を決める、これは経験した人にしか分からない難しさがあります。

 また次の打席では見事にセーフティースクイズを決め、持ち味を存分に生かしたプレーを見せただけに、強烈な印象は残せたと思います。ただその後の試合ではバントを失敗する場面も見られました。選手としてのタイプを考えると、今後バントは絶対に成功させなければなりません。

 セカンドのレギュラーを狙うならば菊池涼介選手という球界トップレベルの選手との争いに勝つ必要があります。並大抵のことではありませんが、なんとか食らいついて高いレベルのレギュラー争いを見せてほしいです。同期であるドラフト1位の小園選手へのライバル心を糧に、慢心することなく大成することを願っています。

 最後にこれはどの選手にも言えることですが、彼らは現在“若手”だからこそ出番を与えられている部分は大いにあります。その過程の中ではレギュラーを目指せる選手なのか、バックアップ要因として起用していくのか、シビアに判断されてくるはずです。

 一軍デビューに満足するのではなく、『レギュラーを目指すために自分がどういう選手になりたいか』をイメージしながらプレーしてもらいたいです。自分が9巡目入団だっただけに、下位指名選手のことは気になってしまいます。反骨心や同期の選手に負けたくないという思いを忘れず、今後も頑張ってほしいです。