今季のカープでは林晃汰も一軍初昇格を果たすなど、2018年ドラフト組の多くが飛躍のシーズンを送っている。その中でも一軍の舞台で鮮烈な印象を残したのが、ドラフト7位入団の羽月隆太郎だ。

ウエスタン・リーグでは持ち味の脚力も存分に発揮している羽月選手。

 昇格即スタメンとなった8月7日の阪神戦では、プロ初出場ながら2安打3打点の活躍でお立ち台も経験。8月30日に二軍降格となったが、約1カ月弱の間で菊池涼介に代わり5試合セカンドでスタメン出場を果たしてみせた。

「いろいろアドバイスをもらいましたけど、菊池さんの守備というのは絶対に真似ができないので、どちらかといえば守備における考え方を真似するように考えていました。守備に関しては昨年から玉木コーチ(朋孝・二軍内野守備・走塁コーチ)にずっと指導していただいているので、そこは徹底してやっていきたいと思っています」

 デビュー戦では上々のプレーを見せたが、その後は一軍の厳しさも味わった。9試合の出場で20打数4安打(打率.200)。現在は二軍で昇格時に感じた課題と向き合う日々を送っている。

「まず野手と野手の間に打球を打つことを意識するようにしています。あとは体がピッチャー方向に早く開かない、見せないようにスイングすることを意識しながら練習し、打席に臨んでいます」

 打撃だけではなく持ち味である守備や走塁の面でも意識の変化があった。ウエスタン・リーグでは昨季から結果を残しているものの、現状のままでは上で通用しないことを肌で実感じたという。

「盗塁に関しては、普通にスタートを切っていては一軍ではアウトになってしまうと痛感したので、自分主導で投手が動き出すということを意識しています。自分が先に動いて、投手が投げたという状況であればセーフになる自信はあるので、そこを目指して練習しています。守備については、玉木コーチから教わったことなんですが、『投手が打ち取った打球を確実にアウトにする』ということです。それを心に置いて、練習から一球一球意識するようにしています。一軍経験をさせていただいたことで、全てにおいて意識がガラッと変わったと思います」

 二軍に降格したとはいえ、プロ2年目で一軍のレベルを経験したのは大きな財産だ。実際、降格後もファームで打率3割以上をキープし、盗塁でもリーグ2位の数字をマークしている(10月5日現在)

「今足りないところをしっかり、どれだけ自分で追い込んで課題を解消していけるかが大事だと思っています。また一軍に上がったときにすぐに二軍に落ちないために、いま頑張っておきたいと思います」

 低迷するチームに新たな風を吹かせた若鯉が、一軍での経験を糧にウエスタン・リーグで一回り大きくなった姿を見せている。