引き分けを挟んで3連敗中のカープを救ったのはプロ6年目右腕の中村祐太だった。7連勝中と勢いに乗る中日を相手に7回を投げて7安打無失点と粘りの投球を見せて、今季3連勝。チームの連敗を止める見事な投球を見せた。

10月18日の中日戦では7回110球無失点の好投を見せて、自身3連勝を記録した中村祐太投手

 初回から毎回のようにランナーを背負う場面が続いたものの、要所を締める粘りの投球が光った。初回は1死一、二塁とされながらも高橋周平を見逃し三振。3回にも初回同様に1死一、二塁とピンチを招いたが、ビシエドをサード併殺打に打ち取るなど、序盤を無失点で乗り切った。

 4回に西川龍馬の先制弾、5回に鈴木誠也の3ランと打線も中村を援護。中盤以降もランナーこそ許すものの、丁寧に低めに球を集める投球で、三塁を踏ませない粘りを見せた。結果的に今季最長の7回110球を投げ、7安打3四死球も無失点と見事に先発としての役割を果たした。

 これで中村は自身3連勝。投球回数も5回、6回、7回と毎回1イニングずつ延ばし、この間失点はわずか2。安定感ある投球を展開している。カープOBの大野豊氏は中村の投球についてこう語る。 

「ストレートの球速を見ても140キロ前後です。もちろんそういう投手はたくさんいますが、中村の投球を見ていると打者が差し込まれていたりします。これを見る限り、彼の投球フォームの中で、打者のタイミングを外すことができているのではないかと思います。また、勝てている要因としては、ランナーを出してもタイムリーを打たれていないこと、粘り強い投球ができていることでしょうね」

 中村はここまで5試合に登板し、7失点。3連勝中の失点を見ると、ソロ本塁打の2失点のみ。今季初勝利登板から被安打は3、6、7とランナーを背負っているものの、大野氏が言う通りタイムリーヒットを打たれておらず、粘りの投球を展開できている。

 カープ先発投手陣は現在、エースの大瀬良大地、K.ジョンソン、野村祐輔と主力投手を欠く苦しい状況が続く。しかし中村にとっては自身の存在感を示す絶好のチャンスでもある。少ない残り試合の中で、持ち味の粘りの投球を見せ続けていく。