今年のドラフトは意中の投手を一本釣りしたカープだが、これまで未来の主力選手を発掘、指名していく過程の中で、どのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか?

 ここでは直近10年間に絞り、カープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。今回は今季、打てる捕手として存在感を示す坂倉将吾らを指名した、2016年のドラフトを振り返っていく。

投手中心となった2016年のドラフトだが、野手で唯一指名された坂倉将吾選手も順調に成長を遂げている。

 この年は投手が大豊作で、事前から多くの有望選手がクローズアップされた。高校生では夏の甲子園優勝投手である今井達也(作新学院高)をはじめ、高橋昂也(花咲徳栄高)、藤平尚真(横浜高)、寺島成輝(履正社高)の『高校BIG4』が話題となり、大学生では田中正義(創価大)、柳裕也(明大)、佐々木千隼(桜美林大)らが注目を集めた。

加藤(現・矢崎)拓也投手

 カープは1位指名で共に5球団が重複した田中正義と佐々木千隼を抽選で外し、3度目の1位指名で加藤(現・矢崎)拓也(慶應義塾大)の交渉権を獲得。圧倒的な打撃力で25年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた直後のドラフトとなった2016年は即戦力投手の獲得にこだわった。

床田寛樹投手

 2位では『高校BIG4』の一角である高橋昂の獲得に成功。3位は加藤と同様に1年目からの活躍を見込んで、左腕の床田寛樹(中部学院大)を指名した。入団後は共にトミー・ジョン手術を受け多くの時間をリハビリに費やしたが、現在は両投手そろってマウンドに返り咲いている。

坂倉将吾選手

 下位では将来の正捕手候補として、打撃も魅力の坂倉将吾(日大三高)を獲得。プロ1年目から二軍で85安打を放ち、一軍昇格も経験するなど、早くからその才能を見せつけた。その後は苦戦しながらも、今シーズンは完全に一軍に定着した。

 また、線が細く投球技術も荒削りながら、将来性を高く評価されたアドゥワ誠(松山聖陵高)は5位指名で入団。プロ2年目の2018年には一軍で中継ぎとして53試合に登板するなど、優勝に貢献する働きを見せた。

 結果的に2016年ドラフトでは5投手、捕手1名の指名で終了。育成ドラフトは前年に続き、指名は見送られた。

【2016年 カープドラフト指名選手】
1位:加藤拓也(慶應義塾大・投手)※現・矢崎拓也
2位:高橋昂也(花咲徳栄高・投手)
3位:床田寛樹(中部学院大・投手)
4位:坂倉将吾(日大三高・捕手)
5位:アドゥワ誠(松山聖陵高・投手)
6位:長井良太(つくば秀英高・投手)