今季のカープの明るい話題の一つが、大盛穂、藤井黎來の支配下登録だ。2005年に育成選手制度が導入されて以降、カープは2020年ドラフトも含め24人を指名。そのうち支配下登録を勝ち取ったのは半数にも満たないだけに、二人の昇格、ましてや大盛の一軍での活躍は球団史上に残る快挙といっても過言ではない。

旭川大高では強肩強打を買われ、1年春からベンチ入りを果たした持丸泰輝選手。物怖じじない性格で、捕手としての適性も抜群だ。

 育成出身選手が注目を集めるなか、二軍で鍛錬を積んでいるのが2019年育成ドラフト1位で入団した持丸泰輝だ。ポジションは最激戦区ともいえる捕手。入団会見で掲げた「會澤(翼)さんのように日本球界を代表する捕手」という目標に向かって、リード面はもとよりチャンスに強い“打てる捕手”となるべく日々、奮闘中だ。

「(実戦で)できたりできなかったり、もっともっと打撃は練習が必要だと思います。トップの位置からタイミングの取り方まで、打撃のフォームに関してはガラッと一気に変えました。今はそれを固めているところです」

 森笠繁二軍打撃コーチの指導のもと練習を重ねているが、1年目は27試合の出場で打率.121(33打数4安打)とプロの壁を痛感。シーズン序盤はケガで出遅れるなど、本人の中では悔しさの残るルーキーイヤーとなったという。

「5月中旬に左太腿をケガをして、そこから2カ月くらいはリハビリという感じでした」

 とはいえ高卒捕手であることを考えれば、1年目は結果よりも体づくりや経験を積むことの方が何より重要だ。持丸自身も試合出場を重ねる中で、練習だけでは得ることができない経験値を積み重ねていった。

「ケガから始まって自分の思い描いていたようなシーズンには進みませんでしたが、少ない試合出場の中で改めて野球の難しさを知りましたし、個々のレベルが高いので自分はまだまだというところだったり自分の弱みを見つけられたので、2年目につながる良いシーズンになったと思います」

 守備面でもブルペンでさまざまな投手の球を受けながら、各投手の個性やクセを貪欲に吸収。まだ実際のリードで活かし切れていないというが、例え打たれたとしてもその全てが貴重な経験だ。

「キャッチャーとして、まだまだ投手の良いところは引き出せていなかったですし、もっと自分らしさを出していければ良かったと思います。ただ試合に出て学ぶことはたくさんあります。木下(元秀)や韮澤(雄也)が試合に出て成長しているというのは見ていて分かります。1年目だからと甘えずに、もっとやっていければと思います」

 現行のフェニックス・リーグではスタメンマスクのチャンスも与えられ、さらなる経験値を積み重ねている。今年のドラフトでは、カープが2年連続で高卒捕手を指名(育成1位/二俣翔一)。ライバルがひしめく中で未来の正捕手候補が、まずは二桁の背番号を目指し猛アピールを続けていく。