カープ一筋23年の佐々岡真司氏を新監督に迎え挑んだ球団創立70周年の記念シーズン。結果は52勝56敗12分けで5位。2年連続のBクラスで2020年の戦いを終えた。

 ここでは、数々のドラマが繰り広げられた2020年ペナントレースの戦いを振り返っていく。今回は、10月13日の巨人戦(東京ドーム)。九里亜蓮が菅野智之に投げ勝ち、菅野に今季初黒星をつけた試合をお送りする。

4対3で勝利した10月13日の巨人戦で好投を見せた九里亜蓮投手。菅野智之投手の開幕からの連勝を13で止めた。

◆九里が8回1失点で6勝目「チームを勝ちに導ける投球を続けていきたい」

 今シーズン、チーム屈指の安定感を誇った九里亜蓮が、球界のエース・菅野智之との投手戦を制して、今季6勝目を挙げた。初回、2死一、二塁のピンチを切り抜けリズムに乗ると、多彩な球種を効果的に投げ分けるクレバーな投球で巨人打線を翻弄。8イニングを投げ、先頭打者を一度も塁に出さなかった。

 最大のピンチは上位打線との対決となった6回。1死から連打で1点を失い、さらに満塁のピンチ。しかし集中力を切らすことなく、丁寧にコースを突く投球で、ウィーラーを見逃し三振、続く大城卓三をセンターフライに打ち取り、マウンド上でガッツポーズを見せた。

 菅野との対戦となったカープ打線は、2回に1点を先制すると、4回には、松山竜平のタイムリー、菊池涼介の適時三塁打などで一挙3点を奪取。開幕から13連勝中の菅野を攻略し、好投を続ける九里を援護した。

 九里は8回117球を投げて1失点。9回、バトンを受けた守護神フランスアが2者連続本塁打を浴びたが、最後は3者連続三振の投球。チームは3連勝を果たし、菅野の連勝記録もストップさせた。

 菅野に投げ勝ち今シーズン6勝目を挙げた九里は、今季初の完封勝利を飾った9月28日以降、3試合続けての好投。この3試合で、24イニングに投げて失点はわずかに2(自責点1)。3試合連続でQSを達成し、先発投手として申し分ない働きをみせた。

「昨季までは悪いときに際どいコースを狙って、四球を出してしまった後に点を取られる形が目立っていたんですが、今シーズンはそういう状況になったときに『点をやらないように』という気持ちでマウンドに上がっていて、しっかりゾーンの中で勝負しながら投げられていると思います」

 九里はこの試合以降も好投を重ね、終わってみれば、チームトップの投球回(130.2回)を投げ、プロ入り初の規定投球回を達成。大瀬良大地やK.ジョンソン、野村祐輔など、先発ローテを引っ張ることを期待された主力投手が軒並み離脱した苦しいシーズン、開幕から一度も外れることなく先発ローテを守り抜いた。

「一番はチームを勝ちに導けるような投球を続けていきたいと思っています。そして、常に最後までマウンドに立っていたいです」

 フルシーズン先発投手として完走し、カープ先発陣の柱に成長した背番号12。チームトップの先発数、投球回を重ねた経験を糧にして、来季も先発として開幕から安定した投球を期待したい。 

 ●試合結果
10月13日
カープ4ー3巨人
勝:九里 6勝5敗
負:菅野 13勝1敗
S: フランスア 2勝3敗14S
本塁打:(巨)丸22号、ウィーラー12号