◆旧広島市民球場で、一番心に残る思い出は……

 完全試合した日は、前の晩から降り続いていた雨が当日の朝11時くらいまで降っていたので、「今日は中止かな」と思っていました。そのため気持ちが緩み、良い意味でリラックス状態になっていたのです。

 それが昼には雨が止み、試合が行われると決まった時は一瞬「えっ?!試合あるの」と驚きました。それでも空はどんより曇っていたので、お客さんは3〜4,000人ぐらいしか入っていませんでした。ただ、天候の影響でイレギュラーのないほどグラウンドコンディションがよく、ボールのかかりもよかったんです。気持ちも、いざプレーボールがかかると勝ちたいというスイッチが入りました。そして何より当時バッテリーを組んでいた田中さんがいいリードをしてくれて、私のいいところを存分に引き出してくれました。

 もちろん、完全試合はひとりでできるものではなく、野球は9人でやるわけなので、みんなの力が総合的にプラスアルファとなって出てくるわけですから、それが結果に繋がったのだと思います。

 それでも広島市民球場での一番の思い出と言えば、やはり1975年の初優勝ですね。

 それまで優勝とは無縁でしたから、優勝が決まった瞬間は頭の中がパニック状態になっていました。冷静さがあればうれしいというような感情が出るんでしょうが、あの時は何も言葉は出ませんでした。ただ、頭の中が真っ白になって、「ああ、優勝したのかぁ」というだけ。それほど興奮状態に陥っていました。

■外木場義郎
1945年6月1日生
出水高から電電九州を経て、1965年に入団。1968年に先発に定着し、21勝をマーク。1975年には最多勝を獲得するなど初優勝に大きく貢献した。79年に現役を引退した後は広島やオリックスなどで投手コーチを務めた。

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