◆春季キャンプ第1クールから驚異の347球

 前述の紀藤とルイスの間、2005年から2007年シーズンに『11』をつけていたのが小山田保裕だ。背番号『39』時代の2002年には球団史上初の30セーブを挙げ、44試合で防御率2.72の成績を残す大活躍を見せた。2004年に抑えから先発に転向し、翌2005年に『11』をつけると、5月までの2カ月間で2完封を含む5勝を挙げ、7勝を挙げていた黒田博樹と共に2枚看板として期待された。しかし、以降はケガに泣かされ2007年シーズン限りで横浜ベイスターズ(現DeNA)にトレード移籍となった。

 2000年代はこの小山田、ルイスをはじめとして10年間で4人が入れ替わったが、2010年ドラフト1位入団の福井優也で再び安定期を迎える。この年のドラフト会議では福井と斎藤佑樹、大石達也の早稲田大3本柱投手が注目を浴びたが、斎藤が日本ハム、大石が西武、福井はカープと、全員がドラフト1位指名されている。

 福井も期待通りルーキーイヤーから27試合に登板し8勝。2015年には9勝を挙げたが、在籍8年で29勝と、殻を破るまでには至らなかった。2018年シーズン限りで東北楽天ゴールデンイーグルスにトレード移籍している。

 その後2年間の空白を経て、昨シーズン後から背番号『11』の歴史に名を連ねたのが、2013年ドラフト2位の九里亜蓮だ。ルーキーイヤーから、同1位の大瀬良大地と共に開幕から先発ローテーション入り。未だ二桁勝利はないものの、先発もロングリリーフもこなせる万能型で、昨季はシーズン通して先発ローテーションを守り抜き、自身初の規定投球回を達成。防御率2.96と安定感のある投球を見せた。彼は背番号『11』への変更をこう語っている。

「僕の方からお願いさせていただきました。理由としては1という数字が好きということもありましたし、中学、高校、大学と小さい頃から野球をやってきた中でも、プロ野球の試合を見ても僕の中で良い投手がつけているイメージの番号でしたし、憧れの番号でもありました。変更していただいたことで僕自身ももっとレベルアップして、11番という番号に見合った投手になりたいと思っています」

 今年は春季キャンプ第1クールからブルペンで驚異の347球を投げ込み、初の開幕投手を目指し奮闘中の九里。自身の理想とする背番号『11』の投手に近づく活躍を見せられるか、注目だ。

【背番号『63』を背負った主なカープ選手】
池谷公二郎(投手/1974年-1985年)
紀藤真琴(投手/1989年-2000年)
小山田保裕(投手/2005年-2007年)
ルイス(投手/2008年-2009年)
ヒューバー(内野手/2010年)
福井優也(投手/2011年-2018年)
九里亜蓮(投手/2021年-)