2024年3月に開催される、W杯アジア予選(北朝鮮戦)。サンフレッチェ広島からは、大迫敬介・川村拓夢の2選手が日本代表に選出された。

 ユースからトップ昇格をつかみ取り、プロの世界に足を踏み入れ6年目のシーズンを迎えた大迫敬介。広島の守護神としてはもちろん、国際Aマッチ7試合に出場するなど、着実に『日本のGK』としての成長も続けている。大迫が語る“守りのプロフェッショナル”としての意識の変化とは。(「広島アスリートマガジン2023年5月号」掲載記事を再編集)

W杯アジア予選・北朝鮮戦の代表メンバーに選出された大迫敬介。

互いの信頼関係があるからこそ、全員が前線からプレスに行けている

ー2023シーズンは開幕戦から4月末まで10勝3敗2分、現在チームは3位につけています(5月9日時点)。3月12日から4月にかけてはリーグ戦で5連勝もありました。うち3試合はクリーンシート(無失点)でしたが、大迫選手自身の手応えはいかがですか。

「5連勝のうち3試合を無失点で終えられたことは、ゴールを守るGKというポジションからすると、最低限の仕事はできているのかなと思います。ただ、どの試合も僕自身がなにか決定的に大きな仕事をしたというよりも、チーム全体でしっかりと堅い守備ができているからこその結果だとも思っているので、自分自身が、というよりも、チーム全体として良い方向に向かっているのではないかと感じています。ここまで印象的な試合もたくさんありましたが、中でも特に記憶に残っているのは、やはりリーグ戦初勝利をつかんだG大阪戦(3月12日、◯1ー2)ですね。5連勝が始まった試合でもありますし、あの試合は印象に残っています」

ーチームがもっとも変化したと感じる部分はどこでしょうか。

「監督も選手もほぼ入れ替わりがなかったので、なにかが大きく変化したというよりも、これまで取り組んできた戦術をより深めることができているのではないかと思っています。キャンプも含めて積み上げてきたものがあります、サンフレッチェ本来の強みであった堅い守備も、より強化されてきたのではないかと感じます。今は主にDFを3人起用する3バックのシステムで試合に臨んでいますが、その強固な3バックの守備があるからこそ、チーム全体で前から激しく相手のボールを奪いに行くことができていると思っています。この、『チーム全体で前からボールを奪いに行く』というスタイルも、昨シーズンからの積み重ねの上でより精度を増してきているのではないかと感じますね」

ー『前線からのプレッシング』はサンフレッチェの特徴的なスタイルですが、試合中はDFラインがかなり前線まで上がっているように感じます。一番後ろで守っているGKとして、こうしたチーム全体の戦術をどのように捉えていますか。求められる技術などに変化はあったのでしょうか。

「そうですね。やはり前から相手のボールを奪いに行く分、後ろのディフェンスのスペースは大きく空いてしまいます。その分、GKである自分が守るスペースも広くなりますが、選手同士のお互いの信頼関係があるからこそ、攻撃の選手たちも前から行くことができているんだと思っています。そうした連携がさらに深まっていると感じる一方で、相手チームからの対策が強化されているなと感じることもあります。コーチや他の選手たちとは、自分たちのプレスを剥がされてしまったり、ロングボール1本で相手に収められてひっくり返されてしまうことが増えているように感じる、という話はしています。ただ、根本的には、自分たちのスタイルは変わらないというのがチーム全員の意識ですし、では誰が誰に行くのか、前に行くとしてもどうやって行くのかといったより深い部分、具体的な部分について、スタッフや選手同士で話をすることもあります」

(続く)

《プロフィール》
大迫敬介 おおさこ けいすけ
1999年7月28日生、鹿児島県出身
サンフレッチェ広島ユース出身。2017年にトップ昇格を果たすと2019年に公式戦デビューを飾り、自己最多となる29試合に出場。林卓人らとポジション争いを繰り広げながらも2022年は再び正GKの座をつかみとり、2023シーズン、クラブ初のカップ戦タイトル獲得に大きく貢献した。