2025年9月15日、NPBの歴史に、あるひとつの新記録が刻まれた。代走盗塁記録『26』。1979年に藤瀬史朗(近鉄)が樹立した記録『25』を47年ぶりに塗り替えたのが、昨オフの現役ドラフトで楽天から広島に入団した内野手・辰見鴻之介だ。
シーズン終了時点で記録は『28』まで伸び、辰見は今季のカープを象徴する選手のひとりとなった。求められた場所で確実に結果を残す。スペシャリストとして球史にその名を刻んだ辰見が、『代走』という役割への思いを語った。(全3回/第2回)
◆代走の最大の目的は、ホームに帰ること。12球団の誰にも負けたくない
—辰見選手は普段、一日の最後にその日を振り返る習慣があるそうですね。
「『今日はここまでで終わらせよう』と思って、それができたかどうかを最後に振り返っています。一日一日を無駄にすることなく過ごせているかな、ということを考えています」
—映像を見返したりするのですか?
「それがあってもなくても『今日はやるべきことをやれたかどうか』を振り返りますね。楽天で支配下になり、その後再契約した年ぐらいからですが、『もう一日も無駄にしたくない』と思って始めました」
—どのように振り返るのですか?
「目を閉じて『今日の自分はどうだったかな』と考えながら、ですね」
—今季は代走で強い存在感を示しました。代走という役割をどう捉えていますか。
「代走の一番の目的はホームに帰ることだと思っています。その中でいろんな手段があって、盗塁もそうですし、打球判断もそうです。そういうところでは、チームだけではなく、12球団の誰にも負けたくないという気持ちがあります。自分の仕事として役割をいただいているので、失敗しても批判されても、そこから目を背けたり、自分の仕事から逃げ出したりはしたくないという思いがあります」
—ゲーム終盤の緊迫した場面で出ることが多いですが、プレッシャーはありますか?
「シーズン開幕当初は、失敗も恐れることなく、どんどんいけると思っていた部分もありました。でも失敗も経験して、それなりに難しさも感じるようになってきました。それでも自分の仕事なので、いろいろな人に話を聞きながら、しっかり準備をして臨もうと思ってきました」
—試合中は、どのように出番へ向けて気持ちをつくっているのですか?
「1回から5回ぐらいまではベンチで応援しているので、割とリラックスしています。前半が終わってから、徐々にスイッチが入っていく感じです。ルーティンは特にはないですね」
—代走で出た時は、どのような気持ちで入ることが多いですか?
「場面にもよります。ただ、盗塁を成功させられれば大きなチャンスになるので、いつでも行けるような準備はして出ていました」
(第3回へ続く)
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