現役ドラフトでカープに入団し、今季、代走盗塁数でNPB記録を打ち立てた辰見鴻之介。育成、戦力外、育成再契約、現役ドラフトと波乱に富んだプロ野球人生を歩んできた辰見が、「人生を変える」と決意して臨んだという今シーズン、代走に懸けていた思いとは。(全3回/第3回)
◆春季キャンプの紅白戦に、すべてを懸けていた
—辰見選手が、盗塁をする上で一番大切にしていることは何ですか?
「一番というのは、あまりないですね。全て最高の準備をして、という感じです。投手によっていろいろなタイミングがありますからね。セ・リーグでは初めて見る投手も多かったのですが、『こんな動きをしてくるんだ』という面白い発見もありました。今年は初めてのことばかりなので難しさもありましたが、楽しい、面白いと思えたので、そこは良かったのかなと思います」
—では、盗塁を決めた瞬間はどのような気持ちですか?
「セーフになったら、すごく気持ちが良いです。映像で見ればほんの3秒ちょっとぐらいの出来事ですけど、スローモーションに感じる時もあります。走っている間は何も考えなくて良いというか、不思議な時間ですね。僕にとっては最高の時間です」
—代走のみで20盗塁以上を記録し、セ・リーグ記録を更新しました。記録への意識はありましたか。
「記録を言われるようになって、『そんな記録があるんだ』とは思いました。でも、代走として仕事をいただいてやっている以上は、トップになりたいという気持ちももちろんありました」
—盗塁数に目標は設定していたのですか?
「最初から10個刻みで目標を設定していました。10がクリアできれば20、20がクリアできれば30という考え方ですね」
—8月18日の中日戦では代走で出場して盗塁を決めましたが、その回に打席が回ってきて、プロ初打点となるタイムリー二塁打を放つ活躍もありました。
「あの時は、一週間分ぐらい走ったんじゃないかなと思います(笑)」
—今シーズン、ターニングポイントになったプレーはありますか?
「シーズンが開幕してからは、『これ』というプレーありませんね。ただ、春季キャンプでの紅白戦は大きかったです。現役ドラフトで移籍が決まった時から『一発目の試合に全てを懸ける』じゃないですけど、『ここで決まるな』と思っていたので。自分の中では、すごく大きな紅白戦でしたし、アピールするという意味でも大きな戦いだったと思います」
—代走での活躍がクローズアップされましたが、スタメン出場への思いはいかがでしょうか。
「正直、今季はこのような役割をいただけていたので、そこに集中していました。でも、もちろん満足しているわけではありません。野球選手なので、打って、守って、走って、スタメンでやりたい思いはあります。段階があるので、その時その時で与えられた役割に対して、最高の準備をして、全力でやることが仕事だと思っています」
■辰見鴻之介(たつみ・こうのすけ)
2000年11月24日生/福岡県出身
香住丘高ー西南学院大ー楽天(2022年育成ドラフト1位)ー広島(2026〜)
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