今月22日に迫った『2026年プロ野球ドラフト会議』。毎年、各球団がそれぞれの狙いのもとに有望な新戦力を指名し、ファンはクジの行方に熱視線を注ぐ。
カープのドラフトの歴史を振り返ると、スカウト陣はこれまで独特の眼力で多くの原石を発掘してきた。今回は、2023年からカープを率いる新井貴浩監督のドラフト秘話を再編集して掲載。名スカウトとして鳴らした故・備前喜夫氏は、若き新井監督をどう評価していたのか。備前氏の言葉で当時を振り返っていこう。
◆ドラフト直前も、スカウトの評価は決して高くなかった
駒沢大から入ってきた新井ですが、彼のことは広島工高時代から「遠くへ飛ばす力のある打者」ということで聞いていて、同い年で広陵高にいた二岡(智宏、元巨人)や福原(忍、元阪神)同様、リストには上がっていました。
実際に見てみると、確かに良いものは持っていました。当たればすごい距離を飛ばす。ただその大きな打球が出るのが、確率にしてみたらものすごく低く、高校ではレフトを守ってましたが、外野守備はドラフトで指名するレベルではありませんでした。それで(成功するのは)並大抵の努力ではダメだろうと思って、大学で4年間鍛えてもらって変わってくればということで、(指名を)見送ったんです。
しかしドラフト直前も、スカウトの評価は決して高くありませんでした。高校時代からの「飛ばすけど粗い」「守備のレベルが低い」という課題はあまり克服されていなかったのです。
特に、守備面が一番の問題でした。「どこを守らせればいいんだろうか」というのが正直な所だったんです。大学では監督さんが彼の打撃をなんとか生かそうと思って、ファーストの他レフト、サードも守らせたようですが。
我々スカウトから見たら、「サードだと189センチと長身ゆえに上体があるので、プロではとても使えんだろう。かといってファーストにしておくほどの打撃ではないし、外野ならどうかなぁ」と非常に悩まされる選手でした。
正直言うと、(指名を)見送ろうというところまでいってたんです。しかし会議直前になって「〝一発長打〟という魅力を中心に考えれば、とても面白い選手なんじゃないか」という意見が強くなって、「じゃあその一発長打を期待して」ということで、指名することになったんですよ。
カープが指名に踏み切った最大の理由、それはプロ入りに対してとても前向きで「プロに入りたいんだ」という気持ちが非常に強かったことです。球団も地元(カープ)でやりたいということでしたし。
素質も当然大事ですが、指名されてプロに入るかどうか悩む選手より、「指名されたら絶対頑張る」という選手の方が伸びてくれると思いますよね。まさに新井はそんな選手でした。新井の第一印象は「大きいなぁ」でした。それで「これだけ大きけりゃたくさん食べるだろう。その食べる分くらいは稼いでくれよ」と話をしたのを覚えてます。
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