選手の個性を見つめ、その可能性を引き出していく。福地コーチが指導で大切にするのは、野球の「基本」を土台に決して妥協しないこと。そして、苦しい時にこそ「まだできる」と選手を信じることだ。 一人ひとりの成長を支える、福地コーチの指導に込められた思いを聞いた。(全2回/第1回)
◆長所を伸ばしながら、苦手な部分を埋めていく
―2026年シーズンから一軍打撃チーフコーチに就任されました。今季の一軍の打線を、どのように評価していますか。
「やはり数字的に他球団と比べて低いというのが現状ですよね。そこは昨季から課題にしていたことでもありますが、春先からなかなか選手の状態が上がっていませんでした。上がらないというより、状態が低い選手が軒並み多かった印象です」
―本来なら誰か一人、二人が状態を上げて引っ張ってほしいところで、そういう選手がいなかったのですね。
「そうですね。僕らとしても、3月に実戦が入ってきてからの調整であったり、『もっとこういうことができたんじゃないか』という反省があります」
―今シーズンもチームは多くの若手選手が一軍で経験を重ねました。連日指導される中で、若手選手の成長をどのように感じていましたか。
「もちろん成長の伸び率は一人ひとり違います。春季キャンプからいろんなことに取り組んで練習をしてきましたけど、できなかったことが目に見えてできるようになったり、弱点だったところが少しずつ改善されてきた選手もいました。弱点というのはマイナスの部分となりますが、そのマイナスをプラスに変えようと思ったら、相当な練習量と時間が必要となります。だからこそ、マイナス10だったものを5にできただけでも全く違ってきます。長所は伸び率が高いので、長所を伸ばしながら、苦手な部分を埋めていくという狙いはずっとあります」
―福地コーチ自身が、指導者として最も大切にしていることを教えてください。
「やはり『基本』ですね。何でも基本があると思うので、基本的なことはずっと言い続けます。選手たちの体に基本が染みつくまでは、しつこく言い続けないといけないと考えています。基本ができてくると、次の段階に行きやすくなりますからね」
―技術だけでなく、メンタル面でのサポートなども行われているのでしょうか。
「そうですね。選手は絶対に迷うときがありますから。バッティングは技術もそうですし、野球は気持ちの面にもすごく左右されるスポーツです。だからこそ、ベースとなる基本があれば、迷ったとしても一回そこに帰ってこられます。『ここからもう一回スタートしようか』と立て直しやすくなります。そのベースがなかったら、どこに戻れば良いのか分からなくなってしまいますよね」
―選手によって、指導のアプローチも変わってくるのでしょうか。
「それぞれ全く違います。例えば『前になってるよ』だとか、『自我が強くなって前に出すぎてるから、一回戻そうか』みたいなアドバイスをすることもあります。選手の話を聞いて、プレーを見て、練習を見ながら、今その選手に何が必要なのかを考えるようにしています。まだ理解できていない選手には一から伝えますし、分かっている選手は、もう次の段階にどんどん進みたがりますからね」
(第2回へ続く)
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