カープが球団史上初のリーグ三連覇を達成した2016〜2018年。チームの中心として活躍したのが『不動のリードオフマン』と呼ばれた田中広輔氏だ。2017年にはシーズン35盗塁を決めて盗塁王にも輝いた田中氏が、いま改めて、盗塁の奥深さを語る。今季、話題を呼んだ辰見鴻之介の代走を田中氏はどう見たのか。そして、さらなる成長のヒントとは。(全2回/第2回)
◆『走ること』が武器だからこそ、『走らない判断』も重要
盗塁を成功させるうえで、選手たちにこれから覚えていってほしいことがあります。
それは「走って良い場面」と「走らない方が良い場面」です。例えば調子の良いクリーンアップが打席にいる時は、二盗まではOKです。二塁まで行けば得点圏になりますからね。
でも、そこから三盗まで行く必要があるかというと、そうとは限りません。クリーンアップを打つ選手は、「自分が返す」という気持ちで打席に入っています。そこで三塁を狙って何度もスタートを切ったり、相手に外されたりすると、投手にプレッシャーをかけられる一方で、打者の間合いを狂わせてしまうこともあります。走ることが武器だからこそ、「走らない」という判断も大切になってくる。これは経験して覚えていく部分だと思います。
私は全てサインだったので、「ここは走っちゃダメだよな」と思っていてサインが出なかったら、「やっぱりここはダメなんだ」と確認することができました。そういう積み重ねが、自分の判断材料になっていきました。
だから、本人が分かっていてもベンチからサインを出すというのも一つの方法だと思います。「なんであそこで走るんだ」と言われることがありますが、本人には本人なりの判断があります。であれば、ベンチがサインを出して、「ここは行く」「ここは行かない」と経験させてあげることも大事だと考えます。

