高校生投手の中でも屈指の実力を持っていると評価されていた小林樹斗。150キロを超えるストレートを軸に6種類の変化球を操る本格派右腕だ。2年夏の甲子園では奥川恭伸(ヤクルト)と投げ合うなど大舞台の経験も豊富なだけに早い段階での一軍登板も期待される。

 確かな潜在能力を秘める高校生右腕に、カープから指名を受けた直後の想いなどを語ってもらった。

高校生投手屈指の実力者としてドラフト前から名前が挙がっていた小林樹斗投手。将来のエースとして期待がかかる。

◆150キロ超えの直球に加え多彩な変化球を操る本格派

─高校時代と同じく赤がチームカラーのカープからの指名となりました。

「指名されるか不安だったので、名前が呼ばれた時はホッとしました。順位は関係なくとにかくプロに入りたかったのでうれしかったです。周りからは『良い球団に指名されたね』と言っていただけましたし、中谷監督からは『ここからが本当の勝負だから、もう一度、気持ちを引き締めて頑張らんとあかんぞ』と激励していただきました。担当スカウトの鞘師さんからは『上位で指名されると思っていたから、4位で指名できるとは思っていなかった』と言われ、励みになりました。またカープはユニホームの色が高校と同じ赤なので親しみもありますね」

─カープには同校の先輩・林晃汰選手がいます。

「僕にとって林先輩は雲の上の存在です。1年のとき、3年の林先輩が活躍する姿を見て、先輩のように自分もプロの世界に入りたいと思うようになりました」

 

─どんな投手を目指していますか?

「目標は、高校2年の夏の甲子園で投げ合った奥川さんです。間近で見てとにかく衝撃を受けましたし、この試合を経験してから、それまで以上にプロへの思いが強くなりました。プロでは先発とリリーフ、どちらを任されてもチームの勝利を第一に考えて投げていきたいです。常に勝利に貢献できる投手でありたいと思っています」

─150キロのストレートに加え、変化球も多彩と聞きました。

「持ち味であるキレのあるストレートを中心に、打者の反応を見ながら、変化球を織り混ぜていくのが自分の投球スタイルです。変化球は得意にしているカットボールとスプリットを含め、全部で6種類投げています。もう一つ、森下(暢仁)投手が投げているような、緩いカーブを習得できれば投球の幅が広がると思っています」

─高校生活3年間で学んだことは?

「野球の技術もですが、監督さんからは『人間的に成長しろ』と常々言われてきました。登下校時の立ち振る舞いを含めて、人に見られている意識を持つことが大切だし、取材時の対応、お客さんが来られた時の対応など、人との関わり方についても何度も教わりました。人としても成長できた3年間だったと思います」

─12月上旬には、元大リーガーのイチローさんが、同高で3日間指導をされました。

「2人で話をさせていただく時間もあり、いろいろなお話を聞かせていただきました。また、ブルペンでの投球練習では、イチローさんが打席に立ち、全ての球種を見てくださいました。『プロでの姿をずっと見ているから頑張れ』と言ってくださったので、早く良いニュースを届けたいと思っています」