■シーズン37セーブ(NPB新人記録)

 新人の球団セーブ記録は前述の25だが、NPB記録は2015年に山﨑康晃(DeNA)が記録した37セーブ。6月2日時点で栗林は11セーブをあげているが、シーズン143試合に換算すると33セーブペースと、このままではやや届かない。セーブ数増にはチームの勝利が不可欠だけに、今後はチーム状態の上昇も期待したいところだ。

■新人によるシーズン最多セーブ(現行制度ではNPB初)

 栗林は現在(6月2日時点)、シーズンセーブ数争いでセ・リーグ2位につけている。1位のスアレス(阪神)との差は6セーブとやや離され気味だが、チーム状況によってはまだまだ逆転の可能性は十分。もし、ルーキーで最多セーブのタイトルを獲得すれば、現行制度となった2005年以降ではNPB初の快挙となる。ちなみに、セーブ数+救援勝利数によるセーブポイントで「最優秀救援投手」が争われていた2004年以前を含めても、新人によるタイトル獲得は1990年の与田剛(中日)、2004年の三瀬幸司(ダイエー)のふたりしかいない。

■44イニング連続無失点(NPB新人記録)

 1966年にルーキーだった堀内恒夫がマークしたこの記録は、55年経った今でも破られていない。6月2日時点で栗林は20回2/3連続無失点を継続中だが、まだまだ先は長いと言える。ただ、このまま連続無失点記録を続ければ、この記録にも少しずつだが、着実に近づくことになる。ちなみに「新人」に限らない連続イニング無失点のNPB記録は1958年に金田正一(国鉄)がマークした64回1/3と、「異次元ぶり」にさらに拍車がかかる。

 今回紹介した記録はすべて、球史にその名を残す偉大なものばかり。達成するのが非常に困難なのは間違いない。これらの記録を引き合いに出される時点で、ルーキー・栗林良吏がいかに圧巻のパフォーマンスを見せてくれているか、わかるはずだ。

 今夏開催予定の東京五輪でも侍ジャパンの最終候補に残るなど、早くも「カープの栗林」から「ニッポンの栗林」になりつつある。

 破格の活躍を見せ続けるドラ1クローザーの「投球」と「記録」から、今後も目が離せない。