3年連続でBクラスに終わったものの、今季のカープで目立ったのは若い力の躍動。小園海斗、栗林良吏、林晃汰などが一軍で大きな飛躍を果たした。ここでは、担当スカウトに聞いた、未来のカープを支えるキーマンたちの獲得の裏側を紹介する。今回は、松本有史スカウトに“隠し球選手”発掘の瞬間を聞いた。

◆同学年の鈴木誠也と共にカープ打線を牽引する打者へと成長

ドラフト5位で入団した西川龍馬。高評価を得ていた打撃を武器に、プロ1年目から勝負を決める数々の印象的な一打を放ち活躍した。3年目の2018年には打率3割を記録し、2019年には2桁本塁打を放ち規定打席にも到達した。

 ここ数年の会心の指名は西川龍馬(2015年ドラフト5位・王子)です。龍馬は私が視察に行くたびに打っていたので、運命めいたものを感じていました。ただこの時、龍馬は社会人2年目で、全国的に注目されている選手ではありませんでした。なので、当時の川端編成部長に「翌年になると必ず上位候補になる選手です」と伝え、指名にこぎつけました。

 もう一人、印象深いのは大盛穂(2018年育成ドラフト1位・静岡産業大)。社会人チームを数社落とされ進路に迷っていましたが、大学の監督には「絶対に獲ります」と伝えるほど、私は大盛に光るものを感じていました。言葉では表現できませんが、選手を見た瞬間に感じた“直感”を信じて成功した選手の一人です。 

●松本有史(まつもと ともふみ)
1977年5月1日生、広島県出身。崇徳高-亜細亜大を経て、1999年ドラフト7位でカープに入団。現役時代は長打が魅力の内野手として活躍した。2005年限りで現役引退すると、翌2006年からスカウトに転身。現在は主に東海地区を担当し、堂林翔太、菊池涼介、九里亜蓮らの獲得に成功した。今年のドラフトでは、中村健人(ドラフト3位)、田村俊介(ドラフト4位)などを担当した。