◆いつも勢いに飲まれていた交流戦

 「周囲が言うような極端な苦手意識はなかった」と語る梵氏だが、では実際に交流戦で勝ちきれなかった理由についてはどのように分析しているのだろうか。

「いつも自分たちで勢いを持つ前に、勢いを持っていかれていた印象があります。たとえばリズムに乗ろうと意気込んでいるところで抑えられて、さらにホームランを打たれて意気消沈……というころが多かったです」

 単体で見ればリーグを代表する選手も在籍していた当時のカープだがパ・リーグの力でねじ伏せる野球の前にチームとして出鼻をくじかれ、そのまま波に乗れずに低空飛行を続けていたのが2000年代のカープだった。

「結果を出せなかったから何を言ってもしょうがないですが、自分たちのリズムで進めれば五分の戦いを展開できる相手であっても、リズムをつかむ前に先手を取られていたということです」 

 カープがこれまで交流戦で最下位を記録したのは4回。いずれの年も交流戦以前は上々の滑り出しを見せていたが、交流戦を境に歯車が狂うパターンに陥っていた。球団新記録となる月間20勝を記録しながらも、6月以降急激に失速していった2019年などはその最たる例だろう。

 ではカープがパ・リーグの波に飲み込まれないために重要なポイントとは何なのだろうか? 次回が最終回となる第3回では、悔しい経験を何度も味わったからこそ感じた交流戦における重要ポイント、そして新たな交流戦の戦い方を探っていく。