11月8日から、宮崎県、日南市で行われているカープ秋季キャンプ。若手をはじめとする選手たちが来季に向け体や心を鍛える場だ。ここではOBの笘篠賢治氏に、秋季キャンプや、期待の選手などについて語ってもらった。

支配下登録を勝ち取った二俣翔一。来季の背番号は99番となる。

◆非常に良い、秋季キャンプを送っている。

 11月13日に新井新監督が秋季キャンプに合流しました。その際、選手たちに「絶対に俺は好き嫌いで起用しない」と話していたとのことですが、“全員にチャンスがある”ということを伝えるために、このような表現で選手のモチベーションを上げたのは、新井監督らしいですよね。

 秋季キャンプでは、監督と選手が笑い合ったり、今どきの光景だなと思いながら見ています。最近まで一緒に現役でプレーをしていた選手も多いので、選手との距離が近く、監督自身もグラウンドの中に入りやすいのではないでしょうか。少し距離があると、じーっと離れて、どんな選手なのか一人ひとり様子を見ていかなければなりません。そういう時間がかからないのは新井新監督の利点だとも思いますね。

 また、練習風景を中継で見ていると、ワンバウンドを捕る動作でも、まずはそのポジジョンに入らないといけないので、あえて捕らせないで後ろに見送る練習をしていました。これはまさに、逆の発想ですよね。選手たちも、ただ球を捕るだけではなく、いつもと違った練習をすることで、何かのヒントになることもあると思います。カープで教わったことだけをやるのではなく、藤井彰人ヘッドコーチという他球団から来たコーチの教えというのは、プラスになっていくはずです。こういう姿を見ていると『非常に良い、秋季キャンプだな』と感じました。

◆支配下登録を勝ち取った二俣翔一。新たな助っ人。

 そして話は変わり、二俣翔一が支配下登録を勝ち取りました。育成と支配下では雲泥の差です。パワーのある打者ですので、ここからさらに力を付け、先輩たちを押しのけ、這い上がってきてもらいたいですね。まさにキャンプの楽しみが増えたと言えるでしょう。

 また、新たな外国人助っ人として、マット・デビッドソンの獲得が発表されました。打撃の編集映像を見る限り、ピッチャー方向に流れず、しっかりと球を呼び込んで“パチン”と打つタイプのようですね。ただ、打っているシーンだと良いフォームで良い打球を飛ばしているばかりですので、打ち取られたシーンも見てみたいという気持ちがあります。ここに関しては、春季キャンプ合流後、どんな打撃をしているのかなど改めて見るのが楽しみですね。ただ、極端なプルヒッターでもなさそうなので、センター方向中心に良い打撃をしてくれそうです。チーム起用は、マクブルームとの併用で、6〜7番あたりにいてくれたら、打線に厚みが出て面白くなるのではないかと考えます。

◆偉人の達成!二塁手で10年連続ゴールデン・グラブ賞受賞!

 最後に、めでたいニュースがありましたね。菊池涼介が10年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得しました。これは山本浩二さんに並ぶ記録ですが、二塁手というポジションで10年連続というのは本当にすごいことです。今年はヤクルトの山田哲人も守備能力も上がってきており、これまでより少し厳しくなるかとも思っていました。山田も以前に比べ、球際も強く、守備範囲も広くなってきましたが、それも菊池の存在があるからだと私は思っています。菊池を意識して、どうしてもゴールデン・グラブ賞を奪い取りたいと燃えていたからこそ、巨人の吉川尚輝も含め、レベルの高い争いになっているはずで、球界全体を見ても良い傾向にあると思います。来年以降も、菊池をはじめとした守備陣の活躍に注目したいと思います。

広島アスリートマガジン11月号は、新井貴浩新監督の軌跡を振り返る1冊! 広島を熱くする男が帰ってきた!新井貴浩新監督誕生 月刊誌でしか見ることのできないビジュアルも満載です。